2002年 8月 20日(火)

リアリティ

今日はちょっとコアな話を一つ。
一緒に漫画を描いている友達のRと今日久々に電話で話した。
そのRが先月スピ○ッ○の担当さんに出したネームの結果を聞いた。

結果全然ダメ。
話が面白いとか面白くないとかではなく、
根本的に「こういうモノ」これではダメって事。

なにがダメかというと
漫画にリアリティがないからと。

Rの描いた漫画は2人の殺しの達人のサクセスストーリーみたいな話。
ある殺しを極めた二人男がヤクザにスカウトされ、
抗争の中でバッタバッタ人を殺す日々、一人はそれがイヤになり、
もう一人は留まって・・・って感じのストーリー。

話の中身に付いて担当さんとはそんなに話さなかったらしいが、
要はまずヤクザの抗争なんか実際に起こらない・・・って所から。

「抗争起こったら警察来るじゃん」

・・・なるほど。
今まで二人で考えていたリアリティとは時限が根本的に違っていた。
ヤクザの世界なら銃があって云々というレベルではなくて、
求められていたのは「社会的リアリティ」そのもの。

今自分が住んでいる世界を題材にするのなら、
それ相応の世界を的確に表現しろと。
読者の目線から「何ソレ」と突っ込まれる様では、
描写が足りていない事になる。

結局ファンタジー気味って言うのが最大のマイナス要因。

新人の漫画家が持ち込む時、ファンタジーはご法度・・というのは業界では有名な話。
ファンタジーって時点でもうOUT。
(小学生向きのガンガンなんかは別だけど。)

会社が欲しいのは最低限、人間や世界観をキチンと描写出来る作家。
その判断を煽るのに空想の世界の出来事を描写した作品では
作家の力量を推測し難いのだろう。

同時に今いる自分の世界に対する洞察力も問えない訳だ。
だから持ち込む時にファンタジーは描くなと自分も言われていた。

が、まさかこういうモノもファンタジーに含まれるとは思いもよらなかった。
ファンタジーと言えば、剣やら魔法やら。
&SFのロボットで宇宙戦争とか。

現実から少しでも離れたら、それはもうファンタジーなのか。
深く考えれば当たり前の事だが、
業界が俗にファンタジーを嫌っていると言うのは
描写が甘い、説得力の無い作品全てに当てはまるという事を始めて知った。

ま理由はそれだけでは無く、大半の理由は
ファンタジー=つまらないというのが業界で定着しているのも事実ではあるが。

要は担当さんが言いたかったのは人並みの知識で漫画を描くなという事。
並みの人間が知っている程度の知識で、
読者に説得力を持たせる作品を描ける訳が無い。

「格闘を描くなら自らが格闘技をやってから。
そうでなければ専門書を50冊くらい読め」

ちなみに映画化もされた漫画「殺し屋イチ」は、
実際にヤクザの事務所回りをしてから漫画を描いたらしい。
プロの世界でいうリアリティの追求とは、こういう事をいうのだと。

自分もRも、そんな事は知っているつもりでいた。
だが今改めてプロを育てる担当さんの口から
漫画にリアリティを詰め込む為に、現役の作家が
どれだけの苦労をしているのかという事を知って、その志の高さに驚愕。

自分の描いている同人誌は規制が無い分ラクだが、
そのラクさゆえ、ピリピリするような緊張感が無くて最近だれ気味。
少しRが羨ましい。

確かに商品である以上同人誌も何かしらの追及をしなければならないはずだが、
それでも根本的にプロの世界とは次元が違う事を肌で思い知らされた。

なんだか二人して笑いながら話していたが
一歩踏み込んでその壁の高さに改めて目がくらむ。

でもますますプロの世界に憧れた日だった。
一度エロ漫画にケリつけて、マジモノのテロ+政治+宗教マンガとか描きたいものだ。
2年ぐらいパレスチナやコソボでリサーチして。

ちなみにRは麻薬事情を知るためにコロンビアへGOと気合(笑)

しかし犯罪を描く前に自分が犯罪者になったらシャレになんない。
でもそれで素晴らしいドキュメンタリーが描けるなら作家として本望かな?(笑)