| 2004年 2月 14日(土) |
飼い主さん向け 遺伝性疾患第4回
飼い主さん向け遺伝性疾患第4回
新庄動物病院 院長 今本成樹
毎回毎回脱線して本当に思いつくままに
つれづれなるままにという感じで書いています。
なんだかんだで、第4回です。
獣医学雑誌に遺伝病の話を連載していて
本当に皆さんに驚かれることが多いのですけど、
本当はそれでは困るんですよね。
さて、遺伝病というものについて
なるべく脱線しないように話を進めていきます。
股関節形成不全について、思いつくままに書いていきます。
まず、股関節形成不全という名前は、
飼い主さんなら最近ではよく誰でも知ってると思います。
「うちの子は関節が悪いと言われたんです。。。」
そう言って来院される飼い主さんがたくさんいます。
『確かに関節の異常は、日本は欧米諸国と比較したら抜群に多いです。』
北欧の国々では、
何十年も前からこれらの遺伝性要因を排除しようとして
盛んに皆さんが頑張ってこられました。
そのかいあって、20%をきるという報告も認められるほど
股関節の異常を持った大型犬が減少しました。
じゃぁ、日本は?40%を越えています。
お国の調査では、40%を超える数値を出してきてます。だからです。
考え方によっては、
股関節の異常は認められるという言い方をしたら
たいていは症状がある子に対しては当たりとなるんです。
難しい顔をして触って、
「これは股関節の異常ですね。」と言えばいいんです。
日本では、それだけで、
触ってわかる名獣医としてやっていけるでしょう。
ただ、考えてください。
こういうのを治して、それで治療成績がどうこう考える前に
まずは遺伝性要因がある疾患は
それの撲滅からスタートじゃないでしょうか?
参考までに、
股関節の形成不全は、70%が遺伝性要因であり、
30%が環境的な要因がかかわっています。
スポーツドッグにおいては、
ある程度の症状が出るということは、ありうる話です。
人ではサッカー選手が
股関節を痛めたりするのと同じ感じだと思ってください。
次に股関節疾患の治療法です。
皆さんよく手術だ手術だとおっしゃいます。
正直に申しまして、
私は今まで手術でよかったということはありません。
あまり大変そうなら
大きな病院へまわすということをやっているからかもしれませんけど、
内科的にいい感じで維持できている症例がたくさんいます。
では、実際の世界で認められている論文のデータを用いて話をしてみます。
読んだのは昔の話で、出所は忘れました。。。すいません。
股関節の形成不全で、内科的な治療を行った際と、
外科的な治療を行った際において、
オーナーの満足度を考察した論文です。
当然最初は、整形外科を知っている先生は
ほとんどの場合において、内科的治療を開始します。
最初からこれはダメだなというのも正直ありますけど、
大抵は内科からスタートしていきます。
それで、満足度です。
めんどくさいと途中経過は無視して、いきなり出しますね。
内科的な治療における満足度・・・・70%
外科的な治療における満足度・・・・80%
です。まずは内科治療を、やってみてあげてください。
そして、様子を見てあげてください。運動制限だっていい方法だし、
体重を減少させるのも効果的です。
実際私は、これでほとんどの飼い主さんに満足いただいております。
完全に関節が外れている症例でも
今は元気に走っちゃってる子もいます。
手術手術という前に、できることをやってあげてください。
そして、もう一つ。
血統書がある時には、勇気を出して、
OFAなどの権威ある機関から証明書をもらって、
それを日本でも遺伝病ネットワークというのができていますから、
そこに登録して、データベースを固めることで、
今後不幸な結果の子が生まれるのを防ぐことができます。
「予防に勝る治療なし。」
です。
ちなみに診断の際の注意点です。
生後一年以内では、
ほとんどの整形外科医の意見が分かれます。
すなわち個人病院であっても、
一年以内の形成不全は、その程度は把握できていない。
ということです。
きちんとした判断は、きちんとした専門の先生や、
それを得意とする先生のところで撮影してもらうことをお勧めします。
そして、自分での書類作成となりますけど、
きちんと書類を作成して、データベースの充実をはかり、
日本の遺伝病を撲滅させましょう。
私は、獣医師として
一人一人の皆様にご協力していただけたらと思っています。
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