2005年 5月 14日(土)

教師稼業

 「教師は聖職」というのは、もはや死語なんでしょうね。連日、教員の不祥事が報道されれば、「教員なんて、タダの人(よりも始末が悪い!)」ということになるのでしょう。こういう状況は、今に始まったことではないのかもしれません。「『先生』と呼ばれるほどの馬鹿でなし」という言葉は昔からありました。
 それでも、「先生というのは、こうあってほしいな」というイメージは消えないようで、「夜回り先生」や「ヤンキー先生」の書く本はベストセラーになるし、彼らが登場するテレビ番組は高視聴率を稼ぎます(いやあ、実際、彼らの子供に接する姿勢には頭が下がります)。授業をやっている場面などまったく出てこない「ヤンクミ」のハチャメチャな番組でさえ、シリーズ化される人気番組です。私にしてからが、プロジェクトXの伏見工業「泣き虫先生」は再放送されるたびに観てますし(ビデオにも撮ってあります)、今週の淀川工業合唱部の話もじっくり観させてもらいました。
 ところで、大学教師というのは、普通の人にはどんなふうに観られているのでしょう。いろいろな本、雑誌、特集記事も出ましたから、ここ20年ぐらいで、大学教師もかなり「脱神話」化されたと思います。筒井康隆『文学部唯野教授』(岩波書店)は強烈でした。鷲田小彌太の『大学教授になる方法』『大学教授になる方法・実践編』(青弓社)もよく読まれました。桜井邦朋『大学教授』『続大学教授』(地人書館)、川成洋『だから教授は辞められない』(ジャパンタイムズ)等々、大学改革が議論されるにつれ、大学教員の実態を白日の下にさらす本が次々に出版されました(どれも、非常に面白い!)。
 大学教師本ベストセラーとしては、野々村一雄『学者商売』『学者商売その後』(新評論。絶版ですが古本屋で見つけてください。面白い本です)あたりが走りなのかもしれませんが、最近、船曳建夫氏が出した『大学のエスノグラフィ』(有斐閣)はゼミ生諸君にも読んでもらいたい本ですね。
 第1章「ゼミの風景から」は『書斎の窓』連載中から興味深く読んでいました。ポシビリズム研究会メンバーにはコピーを配布しましたよね。2章〜4章の大学教員・大学組織の生態・実態観察も興味深いですが、ゼミ生(ならびにゼミ卒業生)には、この第1章を読んでいただくと、ゼミの意味、教師がどんな感覚でゼミに臨み、ゼミを運営しているのか、などを把握できるでしょう。現役学生にとっては、教師の側から書かれたこの章を読むことによって、ゼミ活動を豊かにするヒントが得られるかもしれませんし、ゼミ卒業生にとっては、自らのゼミ活動というのがどういうものであったのかを再認識するきっかけを提供してくれるかもしれません。そんなに高い本ではありません(私の本に比べれば)ので、是非ご一読を(本体価格1600円)。
 教師稼業を妙に神聖視したり、貶めたりすることなく、実態を把握したうえ、優しく接していただければ、ありがたいです。僕たちもそれなりに頑張ってますんで。




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