2005年 7月 25日(月)

マクドナルド高崎経済大学進出計画!

 近年、昼食時の高崎経済大学生協食堂は大混雑です。1階購買部のレジも、弁当やパンを買う学生諸君の列。生協は三扇会館入口と1号館入口の2カ所でも弁当を販売していますが、ここにも長蛇の列。そして即完売。
 私の場合、時間があれば外に出ますし(「自由にお取りください」の惣菜・漬け物コーナーがある「平尚庵」は週に1度は行きますね)、時間がない場合は混雑時を外して生協に向かいます。いずれにせよ、専任教員の場合は、今の状況でも何とかなります。私のような対応もできますし、どこかで買ってきたものをエアコンの利いた研究室でゆっくりと食べることができます。困るのは、全国的に見て短すぎる昼休み時間(40分!前は30分!10分延ばすのにも苦労したで!)に食事をとらねばならない非常勤講師と学生、特に学生諸君です。
 昼食時の混雑は今に始まったことではなく、臨時定員増や地域政策学部開設などで学生が増えた頃から問題にされていました。その後、地域づくり学科ができ、またもや学生が増えたにもかかわらず、この間、とられた対応策といえば席数をわずかに増やしたことと弁当販売ぐらい。地域づくり学科は学年進行中なので来年はさらに学生が増えます。そして、さらにさらに、来年4月には地域政策学部に観光政策学科なるものができるらしいんで、また学生が増えます。
 おいおい、もう勘弁せいや。何とかせいよ、ホンマに。誰もがそう思うでしょう。地域づくり学科を増設するときから学生が増えることは分かりきっていたはずなのに、何の思想も理念も感じられない新校舎6号館が建てられてしまいました。昼飯問題の深刻さをトップ(学長のことね)が本当に認識していれば、最上階なり、地下なりに、食堂が建設できたはずです。「教室棟に食堂があるのはいかがなものか。」だって?「ハア〜?」(マジャ登場。最近よく登場するでしょ?「ハア〜?」っていうネタが多すぎなんです。)わが母校では工学部8号館の地下に堂々たる中央食堂があったっちゅうねん!140円カレー、食ってたっちゅうねん!本学の偉いさんたち、本当に昼飯問題の深刻さを理解できているんでしょうか。
 学生諸君を悩ます昼飯問題は上述のようなもので、その現状は分かっていただけたかと思います。予想される事態に対応しなかった不作為のなせる結果なのですが、今密かに進められているのが、何と、「マクドナルド高崎経済大学進出計画」です。マクドナルドのハンバーガーで本学の昼飯問題に対応しようというのです。ええか?マクドナルドやで、マクドナルド!あのマクド!確かに噂には聞いていました。でもまさか高崎「市立」の公立大学にマクドなんて、ありえんやろ。環状線のとこまで行けば、すぐそこにマクドあるやんけ。しかもあのマクドやで。健康や環境への影響が世間でいろいろと取りざたされてる。アメリカでは裁判にもなってるし。まあ、こう思ってたわけ。ところが甘かった。私、15年も在職しているにもかかわらず、いまだにこの大学の「本質」に対する認識が甘かった。公立大学として、アカデミックな研究機関として「ありえないこと」がありえる・おこりえるのがこの大学なんですよね。再認識いたしました。普通じゃないということを(附属高校への推薦枠5名設定も何の議論もなく決められるし)。
 7月20日の教授会で、7月13日に行なわれた評議会の報告がありました。こうした評議会報告は、毎回の教授会の恒例です。そこで、何と、コーヒーハウスのところにマクドナルドを開店させる計画であることが明らかになったのです。コーヒーハウスをマクドナルドに変えようというのです。仰天しました。まさに「ハア〜?」です(トリビアの「へえ〜」ではありません。マジャの「ハア〜?」です)。何、考えとんねん。たいがいにせいよ、ホンマ。教授会会議室の前方、学科長の席で「怒り」の気持ちが沸々と沸いてきました。ひととおりの報告があった後、「何かご質問はございませんか?」との声。ありまくりやっちゅうねん。「附属高校への推薦枠5名設定」問題もあるしな(でも今日の「研究室だより」のテーマはマクド問題に限定しとくわ)。
 
私の疑問・質問・反論は、まとめれば以下のとおり。

 まず、いつ、誰が、どこで決めた話や?評議会でも「議題」ではなく、「報告事項」らしい。決定プロセスがまったくはっきりしません。評議会という大学の最高の意思決定機関で、議論もしていない、決議もしていない問題がなんでこんなにすんなり通るのか。誰が責任をとるのか。この問題に限らず、本学の意思決定プロセスは明確でない場合が非常に多い。マクド問題では(マクド問題でも?)、あの、高崎経済大学後援会が動いているようです。
 そして第2に、公立大学であり、市が所有・管理する敷地内に民間のファーストフード店を開店させて何の問題もないのか。本学は今でも、民間業者の自動販売機が学内各所に、めったやたらと設置されていますけどね。おそらく単位面積当たりの自動販売機設置率は全国有数でしょうが、こんなんでいいんでしょうか。
 第3。仮に百万歩譲って、ファーストフード店を開店できたとしよう(ホンマはアカンよ。スローフードが叫ばれているときにジャンクフードじゃ)。でも、何でマクドナルドなのか。ロッテリアもあればモスバーガーもある。吉野屋も中卯もあるぞ。何でわざわざマクドナルドなのか。これもよく分からない。
 第4。仮に開店した場合、売価は市価よりも安くなるのか、ならないのか。そんな交渉はもうやっているのか。やたらと設置されている自動販売機の商品。全然安くないもん。誰が儲けているんでしょうね。「まだマクドナルドの店が本当にできるかどうか分からない」などと言いつつ、事務局長からは「回数券的なものを考えている」との発言あり。やっぱり結構話が進んでるんやん。本当のこと言わんとアカンがな。
 まあ第4の問題は、事の大きさからすれば枝葉末節。大事な、大事な第5点。全国各地からお預かりしている、親御さんにとって非常に大事な子供に、きちんとした昼飯を提供するということをどう考えているのか。ここは下宿率が高いんや!親がまず心配するのは、大学のカリキュラムではない。文部科学省からどんな補助金をもらっているかでもない。学内にラジオ局があるかないかなんて、まったくどうでもいい問題。地域貢献なんて関心の外。心配なのは、わが子の健康・食事(そして就職)。遠く離れて暮らすわが子が毎日ちゃんとした食事ができているかどうか。普通の親なら、これが一番心配なんです。親がマクドナルドのハンバーガーで安心すると思います?安価で安全な食事を提供する。こんなのは、大学が提供しなければならない最低限のサービスです。それに伴うインフラは最優先で作らなければならないのです。何考えてるんですかね。
 第6。マクドナルド学内開店は、以上のようなことに絡み、高崎経済大学のイメージダウンにつながりかねません。経大前通りに面するコーヒーハウスのところにマクドの看板が立てられれば、景観を害します。観光政策って、景観も大事なんですよね。私はど素人なんでよく知りませんが、ホスピタリティマネジメントに精通された方々は本学には多いはずで、そうした方々なら、よくご存じでしょう。マクドの看板が立ってる写真を大学案内に堂々と載せられますか。学生にまともな昼飯を提供する施設がなく、マクドナルドで対応する大学。そんな大学に喜んで子供を預ける親はいますか。一事が万事。まともな昼飯を提供する施設もない大学では、「他の面でも同じだろう」と判断されます。授業もいい加減。進路指導もいい加減。そう判断されかねません。「食」という一番基本的なところができてないわけだから。健康・食事が一番の基本という認識がないんでしょうね、今のトップには(何べんも書くけど、学長のことね)。学生の食事はエサではありません。安けりゃいいんだろう的な対応は、親と学生を馬鹿にしています。そして、卒業生の方々も。自分の母校にマクドの看板が立っている図を、卒業生はどう思うでしょうか。
 第7。「で、結局、また金かかるんやろ。いくらかかんの?」事務局長の答弁によれば、開店にあたり、マクドナルドは3000万円の出費を大学(後援会)側に要求しているようです(営利企業からすれば、当然の主張でしょうね。数百メートル先にマクドあるんやし)。これを今2000万円に「値引き」してもらう交渉を行なっているそうです。頭がクラクラしましたけど、ええか?もう1回、書くで。値引きして2000万。2000万や!これ聞いて、怒りは頂点に達しました。おまえら、何考えてんねん!後援会の金って、いったい誰の金やと思てんねん?入学時に新入生1人1人のご父兄全員から集めてる75000円。これが後援会費や。理事長のポケットマネーちゃうで!その貴重な金を2000万も使って、なんでこんなろくでもない企画を考えるのか。完全に神経(特に脳神経!)が麻痺しています。
 上に関連して、最後に第8。新しい食堂を作る計画もあるわけでしょ。そう言いましたよね、さっき。でもすぐには食堂を作れないから、マクドナルドを入れるのだと。とすれば、何ですか。マクドは「つなぎ」ですか?「つなぎ」に父兄の皆さんのお金2000万も使うんですか。ええ加減にせいよ、なめとんか!昼飯時の混雑への対応策なんて、なんぼでもあるやないか(これについては後日述べます。私の対応策に2000万もかかるわけありません)。今この時期、マクドナルドにこだわらなければならない「特別な理由」でもあるんですか。あるのかもしれませんね。おそらく「つなぎ」ではなく、何年後かに新食堂がつくられてもマクドは居座るでしょう。黄色いMの字は永久に不滅です。
 教授会では久しぶりにまくし立てました(しょっちゅう喋っとるやんけ、という声もあるかもしれませんが)。こんな馬鹿げた話を素通りさせるわけにはいきません。ここは「経済学部の」(!)教授会ですぞ。なめられちゃ困る。親も学生も卒業生も非常勤講師も、学内の意思決定には参加できない。専任教員は、分けの分からない話にはきちんと疑問を投げかけ、無茶な話は白紙に戻さなくちゃいけない。うるさがられながらも、赴任以来、私が教授会での発言をやめないのは、専任教員としての責任を感じているからです。専任教員しか、学内のことは決められない。本学には、学生自治会はありません。教員組合も存在しません(だから大学執行部の緊張感が緩むのでしょう)。教授会で専任教員が責任を持って発言・行動しなければ、大学はおかしな方向に向かっていきます。
 マクドナルドをはじめとするファーストフードについては、いろいろな研究者、市民団体、NGOなどが個人の健康に与える影響、食文化や環境などへの悪影響を問題にしています。たとえば、モーガン・スパーロック監督のドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」。これは、1日3食1ヶ月、マクドナルドのハンバーガーを食い続けると人間の体がどうなるか、監督自ら体験し、ドキュメンタリーとしたものです(先週の土曜日、研究会で東京に行ったとき、DVDを買ってきました。4000円は痛かったけど、今度みんなで一緒に見ようね)。この他、ふと頭に思い浮かぶだけでも、エリック・シュローサーの『ファスト・フードが世界を食いつくす』(草思社、2001年、1600円)、ジョージ・リッツア『マクドナルド化する社会』(早稲田大学出版部、1999年、3500円)、ジェレミー・リフキン『脱牛肉文明への挑戦』(ダイヤモンド社、1999年、2427円)などなど、いろいろあります。
 昼飯問題に対応するためマクドナルドを入れるなど、「公立」の、しかも「大学」と名の付くところではありえないでしょう。ましてや、環境問題、スローフード、地産地消、地域づくりを熱心に講ずる高崎経済大学に、マクドナルドはそぐわないと思います。本当に地域にこだわる大学なら(本気でこだわっているのかどうかは知りませんが)、マクドナルドじゃダメなはずです(たとえば、来年合併する倉渕村の食材を使った弁当を販売するとか、考えられませんか?)。もっときっちりと勉強してください。大学全体のことを考えてください。様々な影響を考えてみてください。昼飯時の混雑への対応策として、もし仮にですが、マクドナルドしか思いつかないとすれば、安価で安心な食事を提供できないのだとすれば、トップとしての資質が問われても仕方がありませんね。もっとはっきり書きますれば、「学長失格」ということです。食と健康はすべての基本です。
 まあ、マクドナルド進出計画に限らず、意思決定プロセスをもっと透明にしていただきたい。ここは高崎市が設置者である公立の高崎経済大学です。「学校法人○井学園」ではありません。今回のマクドナルド問題に関しては、「ごまめの歯ぎしり」に終わるかもしれないにせよ、私、専任教員の1人として恥ずかしくない行動をとりたいと思います。他の専任教員の皆さんのご協力を仰げれば幸いです。声を上げるべき時に上げないと、とんでもない建物・施設、そして制度が次々とできる。これまでの高崎経済大学の歴史がそれを物語っています。
 




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