| 2005年 8月 24日(水) |
ずさんな計画
昨日、マクドナルド出店計画の「説明会」に行ってきました。あの文書に名を連ねた専任教員有志に対してのみの説明会です。夏休みのど真ん中、しかも急な招集ということで、出席できたのは11名でした。
結論から言うと、完全なガス抜き。あのような文書をわざわざ「書留」で送ってきたのだから(本当は内容証明郵便にでもしようと思ったのですが、面倒なのでやめました)、話は聞いておく。でも「決定」は変えない。聴く耳なんて最初からなし。つまり形だけの説明会で、意見を聞いて、より良い対策を練ろうという会合ではありませんでした。財団法人高崎経済大学後援会の決定に、教員が口をはさむことはできない。大学の評議会でも教授会でも議題にはならない。これが学長の「まとめ」の言葉でした。
理事長は「学生のため」を連発していました。理事長職がボランティアであることも力説しておられました(6号館を建設した会社がどこなのか、知っている教員は苦笑いしていましたけどね)。昼食時の混雑への対応は、後援会の支部総会に出かけるたびに父兄から要請された。そば屋の出店も考えたが、結局、若い人には(価格面での問題もあり)マクドナルドのハンバーガーが良かろうということでマクドナルドにしたということです。学長も理事長もご自分ではマクドナルドのハンバーガーをほとんど食べたことがないそうですが、「学生のため」にこのような選択をしたということです。「学生のため」。いろいろな「学生のため」があるものです。
1.決定過程が不透明ではないでしょうか?
今回の件は6月27日の後援会理事・評議員会で「決定」したらしいです。決めたのは、昼食時の混雑への対応として、コーヒーハウスをハンバーガー屋に変えるということ。細かな点、つまりどのハンバーガー屋を入れるのか、いくら金をかけるのかを含めて、あとは「理事長一任」という「決定」です(すごいでしょ?2000万使うことも「一任」の範囲内になってしまうのです)。もちろん「入札」はしていません。幅広い「公募」もなし。市有の土地に建てられているコーヒーハウスを勝手に改装できませんから、公有財産の目的外使用をふたたび市に許可してもらわなくてはなりません。これはまだ許可されていませんが、うまくいくだろうと言ってました。
2.なぜ(財)高崎経済大学後援会から多額のお金を出さなくてはならないのでしょうか?
マクドナルド出店に伴う改装費用は2000万円(!)。これをマクドナルドではなく、ご父兄から預かっている大切なお金から後援会が(!)出す(厨房はマクドナルド側が整える)。2000万円という数字だが、コーヒーハウスが毎年500万円ぐらいの赤字を出していることを考えれば、赤字4年分にすぎない。以後、赤字がなくなるんだから、いいではないか。こういう姿勢です。後援会は営利企業ではないから赤字そのものは問題ではないと言っていましたが、赤字500万は彼らにとってキーポイントのようです。改装した建物をマクドナルドに貸して、マクドナルドが直営する(とりあえず5年契約)。でも「使用料」は取らない(!)そうです。もう一度書きます。改築費用はこっち持ち。しかも使用料は取りません!大盤振る舞いです。
ちなみに東京都庁にコンビニエンスストアを入れる際の「出店者公募要項」(20頁以上の文書です)によれば(そう、「公募」なのですよ、公募!)、使用料は毎月55万円(平成16年度。毎年見直しの可能性あり)。しかも3年分前払い。また使用料の他に光熱費・電話代等は実費別途徴収、ということになっています。おかしいんです。やっぱり。本学へのマクドナルドの進出の仕方。改装費用も出させて、使用料も取っていては、どこも入ってこないと言います。でもだからといって、2000万出して、使用料も取らないことにして、わざわざマクドを呼ばなきゃいけないんでしょうか。どこも入ってこないなら、入ってこなくて結構ではないでしょうか。コーヒーハウスを維持すれば。意欲のある教員、学生などでコーヒーハウス経営改善協議会でも立ち上げれば、良いアイデアがきっと浮かぶと思います。マクドナルド出店などという、何の芸もない対応策ではなく。
3.ファーストフードで学生や保護者の声に応えられるでしょうか?
4.長い歴史を誇る高崎経済大学のイメージダウンにつながるのではないでしょうか?
いずれも、主観、価値観の問題だそうです。いろいろな考え方があるでしょ、でおしまい。ファーストフードが個人の健康、地域の食文化、地球環境に与える影響など、関心外のご様子でした。何よりも「学生のために」昼飯を提供しなければならない、という「使命」が優先されるそうです(こちらは、その使命の果たし方、そして金の使い方にはいろいろあるやろ、と言っているのですが)。地域主義や地産地消とも矛盾しないそうです。いやはや、地域政策の「実践」は難しいものですね。
大きな黄色い「M」の字が経大前通りにそびえ立つ日も近いでしょう。イメージは全然悪くならないそうですから、大学案内にも大きく載せてもらいましょう。
5.コーヒーハウスは存続させたほうがよいのではないでしょうか?
今のコーヒーハウスよりも、マクドナルドの方が若者には良いのだ、ということらしいです。学内あるいは近隣の他施設にはない「独自の機能」など、彼らには分からないようです。「食い物」を供給する施設として、どちらが良いかという基準があるだけです。混雑対応能力としては、60席を予定しているので、一人10分(!)、昼休み40分だから、240人分。テイクアウトもありだから、実際にはコーヒーハウスと比べものにならないくらい、昼飯を提供できる、ということらしいです。どうなんでしょうかね、この数字。いずれにせよ、10分でさっさと食って出て行けという店を想定しているようです。
6.食堂混雑への対応策には、より安価な、いろいろな代替案があるのではないでしょうか?
「ない」そうです。今の状況に対応するにはマクドしか「ない」そうです。それしか思いつかないそうです。ご自分ではけっしてハンバーガーを口にしない年寄りが考えついた案がマクドナルド出店ということなのです。9月には各地で後援会の支部総会が始まる。そのときに、昼食の混雑問題に対して何らかの答えを持って行かなくてはならない。だから早急にマクドナルドを入れるのだ、ということらしいです。「その株主総会のような支部総会のために急いでいるんですか」と聞くと、「そんなことはない」と答えていましたが。
普通に考えれば、代替案なんていくらでもあるでしょう。聴く耳を持つか持たないか。2000万も使うのなら、いろいろなことができるはず。でも年寄り二人にとってはマクドナルドしかないそうです。
昨日の説明会の概要は以上です。要するに、マクドナルド出店は既定路線であり、食堂混雑問題に対する代替案など不要ということなのです。議論なんかさせないよ、ということなのです。景観問題は?ゴミ問題はどうなるの?一般市民にも販売するということだけど、出入りのトラブルは大丈夫?営業時間は?考え出したらいろいろな問題があるはずなのに、「計画の一時棚上げ」なんて、彼らには思いもよらないことなのです。
以上のやりとりのなかにも、「ずさんな計画」は見え隠れしているわけですが、ここで決定的に「ずさんな状況」を指摘しておきます。
高崎経済大学後援会は文部科学省認可の財団法人です。ですから、普通の会社でいう定款にあたる「寄付行為」にもとづいて運営されなければなりません。当然、高崎経済大学後援会も「財団法人高崎経済大学後援会寄付行為」に則って運営されている「はず」ですよね。その寄付行為第10条に「この法人の事業計画及びこれに伴う収支予算は、毎会計年度開始前に、理事長が編成し、理事会の議決を経て文部科学大臣に届け出なければならない。事業計画及び収支予算を変更した場合も同様とする。」とあります。そして第13条に「この法人の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。」とあります。
説明会の場で確認したところ、マクドナルド出店は今年度の事業だそうです。何千万も使う事業です。当然ながら本年3月31日までに事業計画を立て、理事会の議決を行なって、文部科学大臣に事業計画を提出せねばなりません。でも、これも念を押すつもりで確認したところ、文部科学大臣に事業計画を提出していません。寄付行為に定めてあることをきちんと実行していないのです。おそらくマクドナルド出店など、今年度の事業計画には入っていなかったでしょう。やりとりのなかで、提出しなくてもいいんだ的な発言もあったので、無茶なことは言うなと返しておきました。いいですか。文部科学省認可の財団法人です。寄付行為に基づいて運営されなければなりません。ところが、この後援会は、寄付行為に反することをやっています。非常にずさんです。この一点をとっても、マクドナルド出店計画は問題なのです。でも、彼らはこのまま突っ走るつもりです。
この勢いを止める手だては他に何があるでしょうか。ガス抜きの説明会をやったあとは、いつでも改築工事に取りかかろうとするでしょう。改築工事をさせないような仮処分申請をすることはできないでしょうか。法律に詳しい方、おられませんか。寄付行為に反する財団法人のずさんな計画を法律的に止めることはできないでしょうか。
本学のN先生がマクドナルド問題に関するブログを開設してくれたようです。何らかのきっかけとなればいいのですが。
もっとも、マクドナルド問題は、本学を象徴する問題の一つにすぎません。このようなガバナンス体制ですから、他にもいろいろなことが起こります。しばらくしたら、またこの「研究室だより」に書かなければならないことが明らかになるでしょう。ガバナンス、意思決定システムを抜本的に変えなければ、問題は続発するでしょう。
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