| 2006年 3月 25日(土) |
受験トラウマと偏差値幻想
大学入試の合格発表がひと通り終わった、この時期は、毎年悲喜こもごも。志望通りの大学に受かり、晴れやかな気持ちで入学式を待ち望んでいる人。残念ながら第一志望に落ち、別の大学への入学を決めた人、あるいは浪人して再チャレンジを目指す人。まさにいろいろです。それぞれ自分の信じた道で頑張ればいいと思いますが、この時期はまた、受験トラウマと偏差値幻想に苛まれる人たちが、いろいろな媒体で蠢く時期でもあります。高崎経済大学に関しても例外ではありません。ネガキャン、アンチが横行します。
でも、高崎経済大学への入学を決めた人たち!レベルの低いネガキャンにいつまでも付き合うことはありません。堂々と胸を張って入学式に臨み、4年間の学生生活を謳歌してください。いつも書いていますように、50年の歴史を有し、2万人以上の卒業生を輩出してきた高崎経済大学は、日本に残された数少ない全国型大学。学生の7割以上が群馬県外の出身者です。全国あちこちから来た学生が大学から半径2キロメートル以内に住み、そこには独特の空間が形成されています。「それほど悪くない」どころか、この環境でしか学べないこと、ここだからこそ学べることが多くあります。たしかに、今も昔も、第一志望で入学する学生ばかりではありません。ひょっとすると、それ以外の学生の方が多いかもしれない。しかしながら、来てよかった、高崎で学び一生の財産を手にすることができた、という気持ちで卒業していく学生も数多くいます。そして、そうした卒業生をたくさん生み出すのが、私たち専任教員の役目です。
2ちゃんねるあたりで本学と比較対照されている大学で、所属するだけ、卒業するだけで、本学所属・本学卒とその後大きく状況が異なってくるようなところなど、ないでしょう。いや、そもそも大学に「所属」するだけ、「卒業」するだけで何がどうなるというのでしょうか。何をどれだけ、どのように学んだか。どんな奴らと、どれだけ真剣に付き合えたか。そちらの方がよほど重要でしょう。
大学卒業後もいろいろな意味で学ぶ。学ぶ基礎、考える足腰を作り、鍛える最後の(とは言えないかもしれないけど、かなり重要な)機会が大学時代です。センター入試のスコアと偏差値にこだわり、それだけが大学の価値と思えば、それだけの大学生活。自分の学ぶ環境を冷静に、そして真摯に見つめ直せば、今ここで、いろいろな勉強ができることに気づくはずです。
そしてまた、学生時代、利害関係抜きにできあがった人間関係の大切さ。ビジネスにおける人脈の重要性がよく指摘されます。しかしながら、何らかの形での短期的見返りを望むような姿勢では、いわゆる「人脈」など形成できないでしょう。学生時代、目先の利益に左右されないような付き合い方をしていればこそ、将来、何かの時に助け、助けられるような人間関係ができあがるのだと思います。結果を意図してできる関係ではありません。そうした人間関係を築く大切な学生時代、「仮面だ」「編入だ」とわめいていては、人生における有形無形の財産を失うことになるでしょう。そもそも大学の名前や偏差値だけにこだわる編入なら、やめておいたほうがいい。中途半端に短大2つ行くようなものです。環境に適応しているうちに時間が過ぎ、いろいろな意味でのチャンスを失ってしまいます。
いつまでも受験トラウマを引きずり、偏差値幻想にとらわれていないで、高崎経済大学で学ぶ意味、学ぶ環境としての高崎経済大学を冷静に見つめよ。講義で、ゼミで、コンパで、雑談で、機会があるたびに言ってきました。受験トラウマと偏差値幻想を煩う重症患者が多発するこの時期、2003年3月発行の『イントロ〜学びへのいざない』に掲載した「たとえば、ポシビリズム研究会〜受験トラウマと偏差値幻想を越えた『学び』のあり方」を再掲載しておきます。その前に、高崎経済大学矢野ゼミナール卒業論文集『経済学研究年報』の「執筆者あとがき」に、あるゼミ生が書いたこともあげておきましょう。
4年前、本当なら就職するはずだったのに、幸運にも大学で学ぶ機会を得たことに、このうえもなくすばらしい仲間と学ぶ機会を得たことに、まずは感謝したい。
月日が過ぎ行くのはあっと言う間だ。入学式にうなだれて参加したことも、まわりに流されまいと肩肘を張っていたことも、飲んだくれていたことも、つい昨日のように感じられる。持病の馬鹿を何とかしたくて、大学生活を楽しむつもりなどなかった。この論文集を書いた人は、多かれ少なかれ同じだったんじゃないかと思う。
ただ、迂闊にもというべきか、運良くというべきか、矢野ゼミに入ったことで大学生活を楽しんでしまった。遊んで楽しかったわけじゃない(それもある)。人生のどこかで頭を打ち、それ故に魅力的な人間たちが、笑ったり泣いたり怒ったりして、その中に自分もいて何やら騒々しくしていることが、いつの間にかたまらなく楽しくなっていた。
自信にあふれ、人を見下して鼻で笑うような人間よりは、才気に乏しくとも汗まみれで笑っている人間のほうが、人生を楽しめる気がする。
これからも、失敗するだろうが、卑屈にならずに生きていこうと思う。
おとといは、ゼミの謝恩会。今日は卒業式。こんなゼミ生、学生が一人でも多くいてくれれば、高崎経済大学の専任教員としては、うれしいかぎりです。
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たとえば、ポシビリズム研究会〜受験トラウマと偏差値幻想を越えた「学び」のあり方〜
【ポシビリズム研究会とは】
この場をお借りして、私は「ポシビリズム研究会」の紹介をさせていただこうと思います。ポシビリズム研究会とは、私のゼミを卒業し、全国の大学・大学院・研究機関で研究を続けている人たちと定期的に行っている勉強会です。1998年9月に立ち上げて以来、2002年9月までに12回の定例研究会を高崎で、あるいは東京で開催してきました。研究会には専門的研究者だけではなく、社会の第一線で活躍する卒業生や現役の学部生有志も参加し、年齢、師弟の枠にとらわれない知的交流を続けています(研究会について詳しくは、ホームページをご覧ください。http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/2137/ )。
【知的交流と研鑽の場】
やっと大学を卒業したのに学部ゼミを母体にした勉強会なんて、と思う人もいるかもしれません。でも、異業種交流などとは違った知的研鑽の場を求める人たちは多いようで、全国を見渡せば、先例がないわけではありません。中でも経済理論・環境経済学の都留重人先生(一橋大学名誉教授)や都市論の柴田徳衛先生(東京経済大学教授)が主宰される「背広ゼミ」が有名です。両先生の勉強会は、地の利もあって開催頻度も高く、調査旅行に出かけたり翻訳を出版したりとその活動も本格的ですが、私たちの活動は今のところささやかなものです。でも、修士論文や博士論文、学会発表論文の中間報告、各種調査報告、書評会、古典の読み直しなど、地道に活動を続けてきました。都留先生や柴田先生の研究会を目標に、将来的には共同研究の公刊等、活動領域を広げていきたいと思っています。
【多様な研究テーマ】
学部ゼミの研究テーマは世界経済論・開発経済論なのですが、学部卒業後のメンバーの研究テーマは実に多様です。日本の農業政策、農村の就業構造をやっている人もいます。タイの労働力移動を日本と比較しつつ研究している人、戦後日本の対外経済政策の形成過程を丹念に検証している人もいます。インドに出向き不可触賤民の政党史を調査している人、中央アジア諸国のジェンダー問題を取り上げている人もいます。この中には、すでに博士号を取得し大学や研究機関に就職して日夜研究に励んでいる人、学界で高い評価を獲得し日本学術振興会の特別研究員に選出されている人もいます。また、専門的研究を背景として地方行政、国際金融、開発援助の舞台で活躍している人もいます。
【勘違いするな】
研究会に参集する人たちから私は多大な刺激を受けてきましたが、ここでポシビリズム研究会の話を書いたのは、何もゼミ卒業生の自慢話をしたかったからではありません。しばしば見聞きする、在学生による高崎経済大学への自虐的評価に私自身、辟易しており、学生諸君にもう少し冷静かつ客観的に自らの勉学環境を見つめるきっかけを提供したかったから、というのがその理由です。昔も今も、高崎経済大学経済学部を第一志望として入学する学生は多いとは言えません。そのせいか、いつまでも受験の失敗を悔やんだり、誤差にしか思えないような偏差値レベルにこだわり、他大学と比較する悪弊から抜けきれない学生が少なくないように思います。高崎経済大学でなければ、もっといろいろなことができ、人生違ったものになっていたはずなのに、と勘違いする学生が!
【サボる口実を見つけるな】
でもね、そんなセコイ次元で悩んでいる暇があったら、現況を見据え一歩でいいから踏み出してみませんか。日々努力してみませんか。入学した大学のせいで自分の可能性が制約されていると考えているとしたら、それは自分の勉強不足、努力不足に対し自分で免罪符を与えようとしているだけだと気づいてください。やりたいことがあれば、つべこべご託を並べずに、やりはじめればいいんです。高崎だから、高経だから、できない、無理であるなどというのは、往々にして自分がサボる口実を見つけているにすぎません。そんなやつはどこにいようが、どの大学に所属していようが何事もなしえないでしょう。「やるやつ」はすでにやっています。ポシビリズム研究会のメンバーはその一例です。彼ら・彼女らは能力的に特に優れているわけではありません。ただ、学部時代のゼミや講義で自分のテーマを見つけ、卒業後も愚直に努力してきたのは確かです。
【チャンスを逃すな】
「たとえば、ポシビリズム研究会」です。幸いなことに、本学経済学部では他にも様々な学びの場があります。他大学や実社会、研究者との交流の機会、本物の学問に触れるチャンスはいくらでもあります。でもそれは、受験トラウマや偏差値幻想に囚われたまま、自分自身のアンテナを張りめぐらせることがなければ、けっして感知しえぬものです。まずは手始めに、以下のサイトで本学卒業生たちの活躍ぶりを確認してみてください。そして、一歩踏み出しましょう(http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/1250/)。
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