2004年 1月 31日(土)

私は誰?

●よく自分の立場が悪くなって、とぼけるジョークに「ここは、どこ? 私は、誰?」と言って遊ぶことがありますが、実際にそのようになったら私たちはどのように考えるでしょうか。昨日は、人は年齢を重ねるに伴って体力には弱さが出てきますが、精神的な機能は必ずしも身体的機能に比例して衰えるわけではないので、私たちは歳をとっても、それを老化とみるのではなく円熟という認識で希望をもって生きようということを書きました。しかし精神的な機能を持つ脳に障害を持つようになるとしたらどうなるのかという問題も一方にはあります。
●先日、アルツハイマー病の症状が見られた親戚は、どのような気持を今感じておられのかを知りたいという方が、買われた本を貸していただいて読む機会がありました。その本とは、『アルツハイマー病者からみた世界/私は誰になっていくの?(クリスティーン・ボーデン著 かもがわ出版)』です。著者は、オーストラリア政府首相省の30名の程の部下を持つ要職にあった方で、46歳でアルツハイマー病と診断されました。アルツハイマー病は、物事のやり方を知る能力を徐々に失い、ついには体を機能させることも忘れて(飲み込み方を忘れて、のどに食物を詰まらせる等で)死に至るそうです。彼女は、若くして受けたその診断のショックの中にあって、冷静に自分を見つめて本に著しました。病気になった彼女の生活は、「大きなジエットコースターに乗って暮らしているように思う」と表現しています。気持ちが安定した時期があった後に、宙返りや落下するような感じを体験するからだそうです。しかし彼女は、そのジエットコースターという表現の中に、自分が乗っているカートの車輪は、しっかりとレールの上にくっついて人生の起伏やループを通っているとも言っています。
●私たちが今、彼女と同じような状況になった時に、それでも自分が生きる意味と価値を持っているかということを判断できるのは何によってでしょうか。あえて今ここに、私の考えは書きませんが、考えてみる価値はありそうです。