2004年 2月 7日(土)

牛丼事件

●吉野家さんで牛丼を食べていた男が、声高に携帯電話で話し始めたために、店長が注意をしたところ、男は怒って食べかけのどんぶりを店長に投げつけたということがニュースになった。自分の方が悪いのに、注意されたら逆切れするという話なら日本中どこにでもありそうで、これがニュースになるのかと思って見ていたら、コメントする人たちが皆「牛丼を投げつけるなんてもったいない」とか「牛丼を粗末に扱うな」という反応。マナーに反した男の暴力行為に対する批判でも、それに注意をした店長の勇気を褒めるのでもない。BSEのために牛肉の輸入禁止となった影響で、今後吉野家の牛丼を食べられないかもしれないという、牛丼フアンの怒りなのだ。今まで2回しか食べたことのない私にとっては、すぐには理解できなかったのも当然だ。
●しかしこの事件には、様々な内容が含まれている。周囲の迷惑も考えずに行う公衆道徳の欠如は、最近いろいろな面で見られる。それを見かけた時に、周囲は注意すべきかどうかも問題となる「公衆道徳論」。また気軽に食べている牛丼が、輸入に支えられているという事実。日本の食糧自給率の低下がだいぶ前から言われていながら、経済との関係で食料品を輸入に頼る率が多くなっている。これでは外国に何かが起こったら、日本はもろに影響を受けて立ち行かないだろうと言われていながら、すぐには変えることが出来ない複雑な社会の関係を含んでいる「社会経済論」。更に牛丼は、少ない材料で、牛肉とたまねぎ、ショウガそしてお米という微妙なバランスによって生み出された日本の食文化の芸術品だという「食文化論」である。
●もしこの男が、食べかけのコンビニ弁当を店長に投げつけたのだったら、これほどニュースにはなっていなかったかもしれない。それほど吉野家フアンが多いということでもあるが、マスコミもグルメとか大食らい選手権とかを扱うくらいに、もっと他の食品について「もったいない論」を全国的に扱ってもいいと思う。それと同時に、皆が言っているから同じ意見というのではなく、同じニュースを見ながらも、自分の視点でその事実を判断する態度も持ちたい。