| 2006年 4月 29日(土) |
苦い味の山菜
●朝早く、私は妻と娘と3人で、近くの漁港の朝市に行きました。各漁船が、その朝に獲れた魚介類を、道端の店で販売しているのです。店頭には、新鮮なカレイ、ニシン、ホヤ等が並んでいました。小ぶりですが、カレイが15匹くらいで300円などと、つい買いたいと思っていると、妻がそばで、「そんなに買っても、どう処理するの?」と小声でささやかれ、今回は買い物は妻に任せることにしました。妻は、ニシンとホヤを買いました。その帰り道のことです。
●魚屋から離れて、道端で山菜を売っている夫婦に出会いました。これも面白いと、車を止めて覗き込みました。コゴミ、キャラブキ等が並べられ、妻は喜んでいます。「これちょうだい!」とかごに盛ったコゴミを指差すと、次に「それと・・・」と言いながら、今度はキャラブキを見ています。すると店の女性は、妻の視線が横に動いたのを見てから、盛っているかごの中から、明らか一番少ないものを、急いで袋の中に入れました。そばで見ていた私は、「やったな?!」と思いました。
●実は、これに似た経験を私自身がしたことがあるからです。ある大きなスーパーの中に、何軒かの魚屋が入っていますが、ある日、私の好物のゴッコという魚を見つけました。その魚は、冬のその時期にしか獲れません。しかも大物が台の上に並んでおり、一匹500円と安いのです。これはいいと思い、私の目は瞬間、その中から大物を選び分けていました。大物が並んでいる中で、付録にしか見えないような1匹が、脇の方にちょこんと置いてありました。私は当然、この一匹は別物だなと思いました。そこで「1匹ください・・・」と声をかけました。するとその瞬間、その付録の1匹が、さっと新聞紙に包まれ、「まいど!」と私の前に差し出されました。その手際の速いこと。唖然としながらも、「ちょっと・・・それと違うだろ・・・」と心の中でつぶやきながら、その早業に文句も言えず、仕方なくそれを受け取りました。それ以後、私はそのスーパーに行っても、その魚屋には近づかなくなりました。
●こんなことを書くと、「たまたまそんな場面出会ったのでしょう? 悪意で見ているんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。その日、車の中でラジオを聞いていたら、「商売人には、そんな心理が働くようで・・・」と、そのような事例をいくつか話しているのを聞きました。結局そこにある物を同じ値段で全部売るわけだから、客をだますようではなく、客が喜ぶような売り方をすればいいのにと思いました。
●並んでいた山菜のかごの中で、一番少ないものを持たされたことを知らない妻は、「すぐに帰って食べましょう」と喜んでいました。私も思ったことを言っても、ただ気分が悪くなるだけなので、黙っていました。家に帰ってから、テーブルの上に出された茹でられたコゴミは、私の口にはなぜかしら山菜以外の苦さが感じられました。そして、今度このような場面に出会ったら、まずしっかりと選んで、「これをください」とその品を指差すことを学習しました。