2006年 6月 1日(木)

最後の晩餐の座席


●《最後の晩餐》というと、ダ・ヴィンチの絵がよく知られています。ですからこの絵が、聖書に書かれている最後の晩餐を再現したものだと思ったら、さにあらず、これはイエス時代の食事の様子とは全く異なります。ダ・ヴィンチの絵は、イエスの時代より1500年も後の、しかもユダヤ地方のものではなく、ダ・ヴィンチ自身が生活していたヨーロッパの様式です。

●イエス時代の食事の仕方を再現すると、上のような写真になります(いのちのことば社「聖書の世界とイスラエル」より)。つまり私たちが今日使っている高さの椅子やテーブルではなく、もっと低い椅子やテーブルで、椅子に座るというより左脇を下に横に寝そべるのです。そして右手で食べるというかたちです。またテーブルも、「コの字型」に並べられ、その間で召使が給仕をします。上の写真では、左から2番目がイエスで、その前がヨハネ、イエスの後ろがユダです。また弟子たちのリーダー格であったペテロは、右側の前にいます。ですから食事中は、簡単に自分が行きたい場所に行けるわけではありません。この状態が分かると、次の聖書の記述内容が理解されます。

◆「イエスは、これらのことを話されたとき、霊の激動を感じ、あかしして言われた。『まことに、まことに、あなたがたに告げます。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ります。』 弟子たちは、だれのことを言われたのか、わからずに当惑して、互いに顔を見合わせていた。弟子のひとりで、イエスが愛しておられた者(ヨハネ)が、イエスの右側で席に着いていた。そこで、シモン・ペテロが彼に合図をして言った。『だれのことを言っておられるのか、知らせなさい。』」(ヨハネの福音書13:21-24)
この場面は、イエスがユダの裏切りのことを言ったのですが、弟子たちはその裏切り者が誰であるかを知らないので動揺しています。ダ・ヴィンチの絵も、その場面といわれていますが、上の写真によると、ペテロはすぐにイエスの所に行くことができなかったので、イエスの右にいたヨハネに、イエスに誰のことを言っているのかを訊くように、しきりに合図をしたということが分かります。

◆「すると、その町にひとりの罪深い女がいて、イエスがパリサイ人の家で食卓に着いておられることを知り、香油の入った石膏のつぼを持って来て、泣きながら、イエスのうしろで御足のそばに立ち、涙で御足をぬらし始め、髪の毛でぬぐい、御足に口づけして、香油を塗った。」(ルカの福音書7:37-38)
これは、最後の晩餐とは異なる食事の場面ですが、ひとりの女がイエスの足に香油を塗ったというのですが、それは食事の時に後方に足を投げ出しているので容易にできます。しかもあるテレビ番組で、足に香油を塗るのは女性の求愛の行動だと説明していましたが、そうではありません。ある家に食事の招待を受けた時には、招待者の足を洗い、香油をつけてくれるのですが、その家の主人シモンは、食事の招待をしながら心から歓迎していなかったために、簡単に済まそうと足を洗うことも香油をつけることもしてくれませんでした。それであるのに、この女性がイエスに対してしている行為を非難したので、イエスは次のように言っています。
◆「そしてその女のほうを向いて、シモンに言われた。『この女を見ましたか。わたしがこの家に入って来たとき、あなたは足を洗う水をくれなかったが、この女は、涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でぬぐってくれました。』」(ルカの福音書7:44 )