2003年 12月 2日(火)

今がチャンスだ!

2000年に天藤 真氏の全集が
創元推理文庫から復刊された。

本屋で目にした時は不覚にも涙が出た。本屋で
涙ぐむなんて初めてのことだった。

(毎月、刊行されていたので、そろそろ
出揃ったのではないだろうか)

天藤氏の著作は角川文庫から出ていたのだが
全て絶版になっていたのだ!。
(恨んでます・・・角川さん・・・)

姉の買っていた雑誌に掲載されているのを
大昔に読んでいて、いざ読み直そうと思った時
には手に入らず、大袈裟ではなく、まさに
血を吐くような努力の末に集めた思い出がある。

旅先でも仕事中でも、古本屋を見かけたら飛び込み
友人、知人、家族に頼み込み奔走した。
それでも、全部集めるまでに6〜7年要した。

その本がすぐ手に入るなんて!

ご存じない方も多いだろうが、昭和の隠れた
大作家なのだ。映画”大誘拐”の原作者と言えば
解って頂けるかな?。

この作家のミステリーは、一言で説明し難い。
(謎解きもあるのだが、それだけで終らないのだ)

ユーモアミステリーと呼ばれているが私は
そうは思わない。

確かに明るい印象は受けるし、読後感も良いのだが
読み終わった後に、深く考えさせられるのだ。

私の深読みだが、氏は弱者に優しかったのだと思う。
犯罪者でさえも罪を犯す弱さゆえに、愛されていた
のではないだろうか?。

全ての作品を通して、登場人物への思い入れ(情)
が溢れているし、犯罪者といえど、憎めないのだ。

作者自身が残された言葉も面白い。
あとがきで読んだのだが

「私は図太く悪どい、そして
純粋な悪党達に愛情を感じる」

「この登場人物を殺すと決めていても、いじらしく
 殺す時には勇気がいる」と。

こんなミステリ作家がいるなんてと
深く印象に残っている。

話は飛ぶが、作者が執筆されていた時代は
高度経済成長の真っ只中だ。経済が一番で福祉など
二の次であっただろう。もちろん”バリアフリー”
などの言葉さえ無かったろう。

その時代に書かれた著作”遠きに目ありて
は、氏の優しさが溢れている作品で私のお気に入り
だ。体の不自由な車椅子を使う少年が探偵役なのだが
ただの安楽椅子探偵物で終らない良さがある。

私の筆力では良さを伝えられないので
是非読んで欲しい一冊だ。

大誘拐を読まれていない方は幸せな人だ。

ミステリの読者を対象にした
”昭和の記憶に残るミステリーは?”で
堂々一位に輝いた名著だ。探してでも読む価値が
あると自信を持っていえる。

他にも沢山、お勧めはあるが、まずは大誘拐を
どうぞ♪

で、今日、急に布教をしている理由は、古書店で
購入されている人を見かけたのだ。
(お察しの通り、横目で覗き込んだのだ。
手に持っている本が気になって・・・)

ついに古本で出回るまでになったのかと
感動し、興奮している。

ありがたや。御礼申し上げます。
東京創元社様♪





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