| 2003年 10月 31日(金) |
痴漢行為
雪紀たちはまだクラブのことでもめているようだが、今日の私はご機嫌だ。
明日からの3連休、華道家元の祖母が、母とお弟子さんたちを引き連れて京都まで講演会に出かけるという。父とその一行もなにやら海外で講演があるらしい。
ということで、今日は私が離れを自由に使う許可を得た。
家の離れは、洒落者だった祖祖父が庭の池と築山を愛でる為に作ったもので、ちょっとした迎賓館の趣がある。
なんと言っても圧巻は総ヒノキの風呂だ。20人は入れるであろう大きな風呂から庭が一望できる。
たっぷりの湯を張って静かにつかる。滑らかな湯が身体になじんで、ヒノキの香りが心地よい。
汗ばんできた頬をタオルで拭っていると、窓の外が一瞬光った。
こんな時分に雷でもあるまいに…と思っていると、なにやら外から声を潜めた話し声がする。
「馬鹿、フラッシュ焚く奴があるか!」
「だって、すっげえ美少女の入浴シーンだぜ!」
………ん?
美少女? この私が?
失礼な。この贅肉を殺ぎ落とした何一つ無駄のないスレンダーボディーのどこが女なのだ!
さてはデバガメらしい。この離れの唯一の欠点は、敷地の奥で、どうにも人目の届きにくいところにあるのだ。
私は気付かなかったふりを装って何気なく窓に背を向けた。美しいと称してくれたことは、あたりまえだが嬉しいが、私の玉の肌を慎吾以外に見せる気はない。
それにもうじき慎吾がやってくるのだ。
私は濡れた髪を掻き揚げながら、愛しい慎吾の到着を待った。今日はここに泊まること、家人は誰もいないことをちゃんと慎吾には伝えてある。今ごろが私の入浴タイムなのも。
そうこうしているうちに、急に壁の外側が騒がしくなった。
「てめえら! なにしてんねん! 俺の別嬪さんを覗くとは、いい根性やないけ!」
慎吾の雄たけびが聞こえる。続いて情けない悲鳴が聞こえ、慎吾が手を叩く音も。
「けっ、おととい来さらせ。だぁほ!」
慎吾、口が悪いぞ。私はくすくすと笑いながら慎吾が覗くのを待つ。
最近慎吾のお気に入りの、痴漢行為プレイも、なかなか役に立つことがあるものだ。