2003年 12月 12日(金)

泣いても笑っても、週が明けたら期末試験が始まる。
この週末の勉強会が勝負だ。

 この数日三人の勉強を見てきたが、三人とも頑張ろうという意思が無いため、全く成果が出ていない。

瑞樹は理数系は大丈夫だが、文系、特に英語が壊滅的に駄目だ。
文法はめちゃくちゃだし、単語を覚えていない。
世界史などは丸暗記なので、何とか出来るだろうが、英語を何とかするのは困難だ。
英語が話せるカノンが指導しても、カノンの話している言葉は「宇宙語」にしか聞こえないと言っている有様だ。

咲良は英語が話せるが、日本のテストは文法重視なところがあるため、頭を悩ませている。
それよりも、雪紀は人に教えるのが下手で、咲良を見ていて可哀想に思ってしまう。
雪紀は何でも器用にこなせるし、努力しなくても出来てしまう天才タイプなのだろう、わからないという咲良が理解できないようだ。

そして、私の慎吾。
これがもうどうしようもない。
全教科全滅だ。

こうなったら、私が特別に作ったヤマを丸暗記させるしかないのだろうか。
いや・・・・・暗記も出来ないかもしれない。

私は慎吾と楽しく北海道旅行をしたい。
このままでは一人で行くことになってしまう。

どうしたらいいのか・・・・・・

私の頭の中を「カンニング」の文字が浮かんだ。
こうなったらそれしか手段はないのだろうか・・・・・





いや、駄目だ。
カンニングなんて私の美学に反する。
絶対やってはいけない。

やっぱり人質をうまく使って奮闘してもらおう。

私は慎吾が間違えた解答をする度に、昔貰ったラブレターの一文を声を出して読み上げる手段をとった。


「えっと・・・・答えは・・・8?」
おずおずと上目遣いに答えを慎吾が言う。

「ハズレ・・・・・」
『天音へ・・・・俺は今大阪に住んでいます。大阪は楽しい街ですが、天音が居ないのでつまらないです・・・・』

慎吾の手紙の冒頭部分を口に出して言うと、慎吾の顔が真っ青になった。

「うわっ!?何で手紙暗記してんねん!?」
慎吾が慌てて私の口を両手で塞いだ。
私は慎吾の手を払い落とすと、にっこりと微笑んでみせた。

「私は何度もこの手紙を読み返してますから、もう覚えました。これ以上言われたくなかったら、頑張って正解を答えられるよう頑張ってください」

その私の言葉を聴いて、慎吾は必死に首を縦に振っていた。

少し離れた場所で勉強している瑞樹と咲良が、
「恐〜〜〜〜〜〜い・・・・・」と口をそろえて呟いていた。

恐くて結構。
私は雪紀やカノンのように甘ちゃんじゃありませんから。
これも慎吾を愛しているからやっているのです。

もう時間がないのだから、これくらいまだ生温い。
週末はもっと厳しく調教してやりましょう。