2004年 12月 1日(水)

したたかな…

「天音先輩、おはようございます〜」
「あ、天音さん!おはようございます」

生徒会室を覗くと、咲良と瑞樹の元気のいい挨拶が私を出迎えてくれた。

「おはようございます。今朝も二人とも、元気そうですね」

私がにっこりと微笑んでそう、挨拶を返すと二人の頬が、微かにバラ色に染まった気がする。
ああ、これです。これが私の「正しい日常の姿」なのだ、と。
今改めて、思いましたよ。

「そう言えば、咲良と瑞樹はクリスマス会には何をするのですか?」

お茶を差し出してくれた二人を、私はソファーに座って見上げた。
途端に二人の表情が「にっこり」と極上の笑顔になる。
…………ちょっと、待て。その微笑が意味するものは、何なのだろうか?

「ふっふっふー、良くぞ」
「聞いてくれましたー」

とても嬉しそうにそう応える二人に、又もや私を嫌な予感が包む。

「祥太郎先生から、聞きましたよ?」
「天音先輩、マツケンサンバ踊るんでしょう?!」

おのれ、祥太郎先生め。
子犬コンビを巻き込んでいたのだな。

「………私が、何をしようといいじゃないですか。それよりあなたたちは、何を、するんですか?」
落ち着け、私。ここ子犬コンビの口車に乗っては、いけない!

「んーそれは〜」
「内緒です!」

ねーっと、二人で顔を見合わせて喜んでいる。
これだから。ここが女子高かと、一瞬思ってしまうのだな。ああ、ここに祥太郎先生がいれば完璧だ。
その時だ。私は名案を考え付いたのだ。
いつもいつも私に恥を?かかせて下さる祥太郎先生に、一矢報いなければ。
今がその最大のチャンスでは、なかろうか。
咲良と瑞樹を抱きこんでさえしまえば、この作戦は成功したも同然だ。

「咲良、瑞樹?ちょっとお話があるのですが」

しかし、私のその思惑は通用しなかった。

「えーだって。祥太郎先生から駄目だしされてるもん」
「ね、咲良が勉強見て貰う時、約束したんだもんね」
「…………一体、どんな約束をしたんですか」

「「天音さんのお話は、聞かないように」」です!

咲良と瑞樹はにこやかに、しかしきっぱりとそう言い放った。

おのれ、祥太郎先生のやつ!
いったい何処まで、したたかなんだ!
直哉もあんな、悪魔………何処が良くて、付き合っているのだろうか。