2004年 12月 29日(水)

トランプ

王様ゲームが佳境を迎え過ぎないうちに、ゲームを変えることにした。
なにしろこの場には、野乃香や皐月嬢、あまつさえおばあさままでいらっしゃるのだ。
調子に乗った慎吾や雪紀が突拍子もないことを言い出さないうちに危険は回避するに限る。
すでに割り箸の番号の指定で、白雪に、ほっぺにキスをされたおばあさまはちょっと嬉しそうだったが。

「トランプでもしましょうか。ポーカーでいいですか?」
ちょっと人数が多すぎると思わないでもなかったが。
「まあ、私、難しいゲームは存じ上げませんことよ。」
「野乃香も〜。」
困ったように声を上げるおばあさまに便乗するように、野乃香もハイハイと挙手をする。

「そうですか、なんならご存知ですか?」
「そうねえ…、ババ抜きとか、神経衰弱とか…。」
「野乃香は後、七並べとか〜!」
この人数でババ抜き…それはある意味サバイバルゲームのような…。
しかし、その言葉を聞いた慎吾はすでにカードを配り始めている。

案の定だった。ゲームなんて進みやしない。
そして私と慎吾のひそかな企みも動きやしない。
なにしろ…ババの所在は誰が見てもはっきり分かるくらい分かりすぎるやつに回ってしまったのだ。
隼人の不自然に飛び出させたカードがそれだ。

「慎吾! なにをやっているんです! ババはきっちり直哉に回さなければだめでしょう!」
「ちゃんと回したわ! せやのに、隼人の奴が一回目であれ、引きよってん!
それからずっと大切に持っとるんや、あいつ。アホちゃうか? ババ抜きはババ回すゲームやねん。」
きっと隼人も好きで持っているわけではないと思うが。
隼人がババを引いた白雪の隣は直哉。つまりババは簡単に白雪をスルーして隼人の手におさまったわけか。
そして隼人の反対隣は雪紀。あいつが親切にババを引いてやるわけはない。

長い時間をかけてみんなが揃ったカードを捨て終えても…相変わらずババは隼人の手にあった。
1回戦目、隼人敗退…と言うより、私と慎吾の敗退と言ってもいいような…。

「次は七並べにしましょう。ババ抜きは時間が掛かりすぎます。」
有無を言わさずカードを配る。
慎吾に向かって目配せをする。慎吾も力強く頷き返してきた。
みんなの目を盗んでこっそりお互いのカードを見せ合うと、なかなかよい数が揃っている。
なにしろ人数が多いので、一人4〜5枚しかカードが回らないのだが、それでも大きな数は一枚もない。
「やっと直哉…いえ、祥太郎先生に一泡吹かせられそうですね!」
私たちは小さく拳を握り合った。

そっと伺うと、直哉はいつものポーカーフェイスで、祥太郎先生はなんだか難しい顔をしている。
そして、じゃんけんに勝ち残った祥太郎先生は…いきなり1回目をパスした!
これは…今度こそいけそうだ!