2004年 2月 19日(木)

被害拡大?

放課後、いつもなら生徒会室に直行するのだが、今日は久しぶりに華道部に顔を出した。
 久しぶりに顔を出した私を、華道部の皆は笑顔で迎えてくれた。

 皆私に指導してもらいたいらしく、あちらこちらから声が掛かり、忙しい。
小一時間程、みんなの作品を見てやっていると、私の携帯が鳴り出した。

 「はい・・・」

 『天音先輩・・・どこにいるんですか?今すぐ生徒会室に来てください・・・』

瑞樹は声を潜め、焦っている様子だった。

私はため息を吐くと、「すぐ行きますから・・・」と答え、電話を切った。

 「すみません・・・用事ができたので、これで失礼します。みなさんこの調子で頑張ってくださいね」

 「はい。お忙しいところありがとうございました」

私が頭を下げると、華道部のみんなは、しょんぼりしながらも、笑顔で私を見送ってくれたのだった。


 「天音先輩〜」

私が生徒会室の前まで来ると、ドアの前で瑞樹が待ち構えていた。

 「どうしたんですか?」

 「天音先輩・・・ちょっとこっちに・・・」

私は瑞樹に生徒会資料室に連れ込まれた。

 「何か皆には聞かれて困る話なんですか?」

 「そういう訳ではないんですけど・・・・まずは天音先輩の耳に入れておいた方がいいかと思って・・・・」

そう言うと、瑞樹は一呼吸置いて、話し始めた。

 「うちの柚葉の友達が白鳳の女子部に通っているんですけど・・・・どうも今回の「抱かれたい男コンテスト」は、女子部も投票権があるらしいんです。」

 「女子部も?」

 「はい。女子部はかなり盛り上がっているらしいですよ」

私は瑞樹の話を聞いて、考え込んだ。

 女子部も投票するとなると、事態がどう転がるか、全く検討がつかない。

もちろん、雪紀と直哉の人気は絶大だが、モデルをやっている王子様なカノンの人気も高い。
それに、私の人気も高いと自負している。

 「あの・・・それからですね・・・」

私が顎に手を当て、考え込んでいると、瑞樹がもう一つ情報を提供してくれた。

 「住園先輩が、自分が投票されるのを避ける為に、女子部に自分は咲良と付き合っているって情報を流してるらしいんですよ」

 「なんですって・・・・・」

雪紀の奴・・・・とことん卑怯な。
自分だけ蚊帳の外になろうとしているなんて・・・・

 「でも・・・そんなことで人気は揺るがないんじゃないんですか?」

 「そうでもないんですよ・・・・女の子って意外とシビアで・・・・恋人が居るなら興味ないってなるらしくて・・・・」

ふ〜〜ん・・・・雪紀は女の子の心理を知っていて、そんな作戦に出た・・・というわけですね。
まったく・・・・腹立たしい。

 となると、恋人の居ない直哉あたりが、一番になる可能性が高いのだろうか・・・・・
でも・・・カノンは?
マスコミの効果は絶大だし・・・・

 「瑞樹・・・・瑞樹はカノンが選ばれるのは嫌ですか?」

 「えっ!? 俺?俺は別に気にしませんよ。そんなの気にしてたらモデルの恋人なんてやってられないもん・・・」

瑞樹は心のそこからそう思っているらしく、きっぱりと言い切った。
瑞樹の心の広さに私は関心した。

このコンテストを丸く治めるには、カノンが優勝するのが一番かもしれない。
でも・・・世の中そんなに上手く事は運ばないのだろう。

私としても、私と慎吾が被害にあわなければそれでいいんですが・・・・・
そう思ったけど、瑞樹には申し訳なくて、私は心の中で瑞樹に謝っておいた。