2004年 2月 27日(金)

頑張れ!王子様(笑)ゲット大作戦!!

 女子部の生徒の仕事は大変早かった。私と直哉が咲良に交渉して「はい」と言わせた後、彼女達は飛ぶようにして女子部に帰って行ったのだが・・・。今朝、登校してみたら大きなポスターが出来上がっていた。
 
 演目は「眠れる森の美女」である。私は思わず笑ってしまった。
 そのポスターにはどこから入手したのか、珍しく笑顔の雪紀の写真を無理やり加工したであろう、妙な王子様姿の雪紀がでかでかと真ん中に踊っている。
 そして・・・「王子様役」の所の名前に大きく『住園 雪紀』と書かれていた。しかも蛍光ピンクで・・・・・。

 わ・・・笑える!これは笑えるっ!!!このポスターを見た時の雪紀の顔が目に浮かぶ。

 ポスターを前に私が笑いの発作(もちろん、傍からはそうとは見えないようにしているが)を起こしていると、背後に誰かの気配を感じた。

 思ったとおり直哉が立っていた。

 「天音・・・何をそんなに楽しそうにしている?」

 不思議そうに尋ねる直哉に、私は指でポスターを示した。それを見た瞬間、直哉が吹いた。

 「ぶっ!・・・・・お・・・王子様・・・雪紀が、王子様!」

 非常に楽しそうに笑っている直哉につられて私もまた笑ってしまい、暫く二人で笑いの発作に襲われてしまった。

 ひとしきり笑った後、私は咲良の姿を見ていなかった事に気が付いた。

 「直哉・・・・・そういえば、咲良はどうしたんでしょうね?昨日の午後から姿を見ていなかったように思いますが・・・」

 「そう言えば・・・雪紀も見ていないぞ?昨日は生徒会室にいかなかったからかと思っていたが、言われてみれば咲良と雪紀二人でいないな・・・」

 そして気まずい沈黙が私と直哉の間に広がった。

 「・・・・・・・この、せいですかね?」
 
 私はもう一度ポスターを見る。

 「だろうな・・・・・」

 直哉もそう呟いた。

 おそらく、咲良は私達に約束させられた事を実行する為に・・・雪紀にその体でも差し出しているのだろう・・・。

 アーメン。

 私はクリスチャンではないが、ここはミッション系の学園だ。思わず、やりなれた形に指を組み、十字を切ってしまう。

 咲良にはどんな思いをしてでも、頑張ってもらうしかないのだから。

 気が付けば、直哉が悲しそうな目で私を見ていた。現在、咲良を襲っているであろう事態に胸を痛めているらしい。

 「仕方ないでしょう・・・。咲良に頑張ってもらわないと、この計画は成り立たないという事を忘れてはいけませんよ・・・?」

 私の言葉に、直哉がしぶしぶ頷いた。

 頑張れ、咲良!王子様をゲットだ!!!