| 2004年 2月 8日(日) |
デートの締めくくりは・・・・・
UFOキャッチャーで咲良の欲しがっていたパンダを取った後、2階にあるプリクラフロアーへ行き、咲良と一緒にプリクラを沢山撮った。
もちろん、ただ並んで写るだけでは面白くない。
「えっ・・・天音さん?」
「咲良・・・ほらカメラはあっち・・・・」
慌てる咲良の頬にちゅっとキスをした瞬間、シャッター音が響く。
暫く待った後、機械からシールが吐き出される。
「ふふ・・・良く撮れてますよ。咲良も可愛く写ってます」
私の横顔もなかなかセクシーだし、戸惑って目をクリクリさせている咲良も可愛い。
私はそのシールを半分、咲良に渡した。
「ちゃんと携帯に貼ってくださいね。私との思い出ですから・・・・」
「えっと・・・・手帳じゃダメ?」
咲良は申し訳なさそうに、上目使いで私を見上げる。
その表情の可愛さに、私はクラクラしてしまいそうだ。
「本当は携帯に貼って雪紀に見せびらかして欲しいんですけど・・・・まぁ、いいでしょう」
私がそう言うと、咲良はにっこりと笑って、早速手帳にシールを貼ってくれた。
「さて・・・次はどこに行きましょうか?」
「うーーーーん・・・・あっ!俺、カラオケに行きたい!!」
「カラオケですか・・・・?」
「うん。俺・・・・あんまり行ったこと無いんだ。雪紀さんは連れて行ってくれないし、瑞樹も嫌だって言って一緒に行ってくれないんだもん・・・・」
私もあまり騒がしい空間が好きではない。
でも、カラオケといったら、狭い狭い密室・・・・・・
そこで咲良とべったりしたら、さぞ雪紀は悔しがるだろう。
「いいですね・・・・じゃあ、行きましょうか」
私は雪紀の悔しがる顔を想像して、思わず顔が綻んでしまう。
ゲーセンから数分歩いて、繁華街の中にある一軒のカラオケ店に入る。
店内は若い人たちでごった返していたが、すぐに部屋に案内された。
受付であらかじめ注文してあったドリンクが運ばれてきた。
「ごゆっくりどうぞ・・・」と言って店員が出て行った後、私は咲良を手招いた。
「咲良・・・・こっちへいらっしゃい」
咲良は見ていた本を置くと、私の横にちょこんと座った。
私はその咲良の腰を抱き上げると、自分の膝の上に座らせる。
「うわっ・・・天音さん!?」
「し〜・・・今日はデートなんですから、これくらいいいでしょう?」
じたばたと騒ぐ咲良の唇に指を当て、咲良の耳元に囁く。
「えー・・・でも・・・俺重いでしょ?」
咲良の気にしているところはそこですか・・・・・
雰囲気に流されやすいのか・・・・・
私はそんな咲良が少しだけ心配になった。
「大丈夫。全然重くないですよ・・・・さ、咲良何か私のために歌ってください」
咲良の前に本を開いて、咲良を抱きしめた格好のまま、2人でページを捲る。
最初のうちは落ち着かない様子だった咲良も、慣れてきたのか、
「じゃ・・・これにする」
と甘えるように私に言う。
『ああっ・・・食べたいくらい可愛い!!』
こんな可愛い咲良を独り占めしている雪紀が少し憎く感じる。
「ほら・・・曲が始まりましたよ」
咲良が入れた曲のイントロが流れ、咲良にマイクを渡す。
咲良は両手でマイクを握り締め、懸命に画面を見ながら歌いだす。
その声は男にしては少し高めで、音程もちゃんと外さず、私の耳に心地よく流れ込んできた。
幾分緊張しているのか、薄っすらと頬を染めて歌う咲良の顔を見ていて、思わず私の咲良を抱きしめる腕に力が篭る。
その瞬間、
メリッ!!
とドアの方で音がした。
私がドアに視線をやると、扉の真ん中にはめ込まれているガラスの部分にへばり付いている慎吾と雪紀の姿があった。
慎吾が力を入れた所為で、ガラスにヒビが入っている。
「慎吾・・・・」
涙を浮かべている慎吾の姿が私の心をチクっとさせる。
「うわっ・・・雪紀さん」
歌い終わった咲良も、扉の方に気づき、思わず叫んでいる。
「しょうがない・・・咲良、夢のようなデートはここまでですね」
そう言うと私は咲良を離し、扉に向かって歩き出す。
「どうぞ・・・中に入ったらどですか?そんなことしていたら、警察を呼ばれかねませんから」
ため息混じりにそう言ってドアを開けると、慎吾が抱きついてきた。
「天音〜〜〜やりすぎやで〜〜〜〜」
雪紀はそんな私と慎吾の横を何も言わず通りすぎ、咲良の横にどっかりと腰を下ろした。
雪紀の険悪なオーラに、咲良はびくびくしている。
私と慎吾もソファーに腰を下ろすが、誰も言葉を発しない。
暫く部屋の中に嫌な空気が漂っていた。
『どうしたらいいのでしょうねぇ・・・・』
私が悩んでいると・・・・・・
「もうっ探しましたよ・・・・こんなとこに居るなんて!!」
「瑞樹!?」
何やら大きな袋を抱えた瑞樹とカノンが乱入してきたのだ。
「瑞樹〜こっちきなよ〜」
咲良も神の助けとばかりに、自分の横に瑞樹を手招いている。
助かった・・・・瑞樹のお陰で嫌な空気が払拭できた・・・・・
瑞樹と咲良は、瑞樹の持っている袋を開けて、きゃあきゃあ騒いでいる。
「瑞樹、どこに行ってたん?」
どうやら私と咲良の尾行中に、瑞樹とカノンは居なくなっていたらしい。
「途中にペットグッズ店があって、カノンに買ってもらってたんだ。」
「何?お前ん家犬がおるん?」
「はい!チワワが一匹います。」
そう言って瑞樹は買ってもらったという犬用の服を見せた。
「わーーーーっ可愛い!!」
「だろ?こっちも可愛いんだ」
生徒会の子犬たちは楽しそうに犬の服やら首輪やらを見て騒いでいた。
私は雪紀の方をちらっと見やる。
まだ不機嫌な顔で黙っていて可愛くない。
私はマイクと本を雪紀に差し出して、最高の笑顔で微笑みながら言ってやる。
「折角カラオケに来たんだから、何か歌ったらどうですか?咲良に愛の歌でも聞かせてあげたら?」
その私の言葉に雪紀の表情が更に険しくなった。
それはそうでしょう。
だって、雪紀は最高に音痴なんですから・・・・・・
こうして私の雪紀への罰ゲームは幕を閉じた。