2004年 3月 15日(月)

わからない・・・・・

昨日は、皆が一日中楽しんだ様子だった。

 まずは、スキー組。雪紀、直哉、咲良は案の定ゲレンデを思う存分滑り下りたらしい。あ、そこにカノンも参加していたのは言うまでも無い。
 その割には夕方戻ってきた雪紀が不機嫌なのは・・・理由が理由だけにおかしかった。

 雪紀や直哉、カノンのような「上玉」がゲレンデへ行けば(しかも集団)、女性が群がってくるのは仕方が無い事では?と私は思う。更に、咲良のような子犬ちゃんが居た火には・・・それはもう、入れ食い間違いない!って位に人間が集まったのだろう。

 雪紀の不機嫌は可愛い咲良を独り占め出来なかった事にあるらしい。

 もっとも、昼からは慎吾や祥太郎先生も合流して多少、パーティーの色が変わったからか随分増しになったらしいのだが・・・・。


 スキー組がゲレンデを満喫している中、私は温泉でゆっくりしていた。私の他に瑞樹も留守番組だったので思い切って「一緒に温泉に入りませんか?」と誘ってみたら二つ返事でOKが出た。


 「うわぁ〜、昼間の露天もいいですねぇ、天音先輩」
 ぱたぱたと、しっぽが振られているのが見えるようだ・・・と、私は瑞樹を見て思う。

 「スキーに来て、滑らないでお風呂三昧っていうのもおつでしょう?」
 「本当ですね〜。俺、どうしてもスキーは苦手なんですよ・・・。カノンが教えてくれるって言っても・・・・・」

 瑞樹はそこで少し寂しそうに呟いた。本当は、行きたかったのか?と思ったが本人が黙っているのでそれ以上は言わなかった。

 「さぁ、早く体を温めましょう」
 そう言うと、私は新しく張った温泉に浸かった。

 中にもそこそこの大きさの風呂はあったが、この露天は最高だ。露天、とはいっても半分までは屋根が覆っているので「半露天」といった感じが宜しい。完全に洋風な外観と、内装を裏切ってこの和風テイストは・・・?と少々の違和感も感じないでもなかったが・・・お祖母様がせっかく口を聞いて下さった事に文句を言ってはいけない。

 隣を見れば、瑞樹もお湯に浸かってちゃぷん、と手でお湯をかいている。

 「瑞樹・・・相談があるのですが・・・・・」
 私がそう言うと、瑞樹は大きな目を更に大きくした。一体何を、期待しているのだろうか?

 「瑞樹は・・・祥太郎先生を・・・いや、先生が直哉をどう思っていると考えていますか?」

 「・・・・・・わかりません」

 即答だった。
 
 「瑞樹・・・・・・・・・」
 せめて、もう少し考えてから答えてくれても・・・・・・。

 「だって、祥太郎先生って、いつもにこにこしてるけど・・・たまにすごく真剣な目で直哉先輩を見ている時戸か有って・・・俺には、わからないです」

 そういうと、口までお湯に潜ってしまう。

 「たまに、真剣な目・・・?」

 私が呟くと、瑞樹はぶくぶくと白い泡を吐いて答えた。

 分らない。祥太郎先生が直哉をどう思っているのか・・・・・嫌いではないとは思っていても。祥太郎先生の底が見えない。

 私は何故か苛立ちを覚える。

 その気持は・・・夕方戻ってきた雪紀たちをみて尚更強くなった。何処かしら、直哉によそよそしい祥太郎先生の姿に気がついたからだ。

 ・・・・・・・初日の夜はあんなにご機嫌だったのに。あれはやはり「酔って」いたからなのでしょうか?