| 2004年 3月 26日(金) |
不幸な日?
春休み中ということで、慎吾に今日も泊まりに来ないかと、誘いの電話をしてみた。
しかし・・・かくし芸でやるコントのネタを考えるからと、断られてしまった。
いや、確かにかくし芸と言い出したのは私だが、まさか私の誘いを慎吾が断るとは思いもしなかった。
「何だか、腹が立つというより、驚きの方が勝ってしまいますね・・・・」
私は携帯仕舞うと、今日の予定を考える。
舞の稽古は、稽古場が今日は使えない為、無理だし。
家に居てもしょうがない、私はスプリングコートを羽織ると外へ出た。
朝まで降っていた雨も上がり、太陽が顔を出し、良いお天気になった。
私の頬を擽る風は少し冷たいが、清涼感に溢れていて気持ちが良い。
少し歩いたところにある公園に行き、桜や他の木々の新緑を鑑賞しながら散策していると、前方に見知った顔を見つける。
「瑞樹・・・」
私が近寄り声を掛けると、瑞樹が私に気づき振り返った。
「あ、天音先輩・・・どうしたんですか?こんな所で」
「暇だったので少し散歩をね・・・瑞樹こそどうしたんですか?」
瑞樹は愛犬の散歩にでもきたのだろうか?
しかし、傍らに瑞樹の愛犬の姿は見当たらない。
不思議に思っていると、瑞樹の着ているジャケットの胸元が動いた。
そしてその瑞樹の胸元から、タヌキのような顔をした生き物が顔を表した。
「ひっ!?」
「あっ・・・こら・・・だめだろ」
私が短い悲鳴を上げ固まっていると、瑞樹はその胸元の生き物に話しかけた。
「み、瑞樹・・・何ですか?それは・・・・」
少し後ずさり私が尋ねると、瑞樹はにっこりと笑った。
「フェレットです。知ってます?うちの病院で定期健診して、飼い主に返しに行くところなんですよ」
瑞樹はそう言うと、胸元からフェレットを引っ張り出した。
脇の下を掴まれ、ぶらさげられたフェレットの胴体の長さに、私は悲鳴を上げる。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・」
猫以上に長い、ニョロっとした身体を見て、私は気を失いそうになった。
「やっ・・・早くその気持ち悪い生き物を仕舞ってください!!」
「えー・・・可愛いのに・・・・」
顔を蒼くして叫んだ私に、瑞樹は不満の声を出したが、渋々胸元に戻した。
これ以上気味の悪い生き物の側に居たくなくて、私は瑞樹に謝ると、走って公園を後にした。
慎吾には誘いを断られ、瑞樹には気味の悪い生き物を見せられ、私の一日は不幸だ。
これ以上不幸な目に会いたくない私は、結局家にこもるのだった。