2004年 3月 9日(火)

怒涛の雪紀

 今日の雪紀は、朝から必死になって生徒会の机に向かっている。
 
 理由は明確だ。昨日、私が持って来た乃々香から預かった女子部の生徒からの手紙の返事を書いているのだ。自宅へ持ち帰って書けば良いのに、と思わないでもないが咲良を連れ込んでいてはそうもいかないだろう。

 本来、寮生の咲良をそんなに外泊させてはいけないのだろうけれど。今回のミュージカルに雪紀を出させるために咲良は散々、雪紀に泣かされてしまったのだろううし。私自体、寮長の慎吾がしょっちゅう抜け出して来るのだからキツイ事は言えないだろう。

 そんな事をつらつら考えているうちに、いつの間にやら咲良が来ていた。雪紀の隣に座って、何やら懸命に作業をしている。

 ・・・・・・・・・何をしているのだろう?

 そう思って、二人に気付かれないようにこっそりと覗いてみれば・・・・・。呆れた事に、雪紀は書いた返事を咲良に封筒に入れさせていた。

 まったく。そんな事させる雪紀も雪紀だが、手伝う咲良も咲良だ。

 でも、パソコンなど使わずに一応全て、手書きで返事を書いているあたり、多少雪紀にも良いところはあるのだな、と少し見直した。尤も、そのくらいしなければ「白鳳」の高等部・生徒会会長の名前に傷も付くし、私や乃々香も恥をかいてしまうのですけれど。

 よくよく見れば流石の雪紀も先刻から何度も右手首を捻っている。あの手紙全部に、丁寧な返事を書いているのだから・・・腱鞘炎も起こすだろう。今週の後半は期末考査があるというのに・・・いくら何でも、雪紀が可哀想に思えてきた。

 仕方ない・・・女子部に雪紀を売ったのは私ですし。直哉も呼んできて手伝うとしましょうか・・・・・・・・。