2004年 4月 11日(日)

慎吾拗ねるの巻

 「いい加減こっち見てください・・・・」

私は自分の部屋の隅で、背中を丸め壁と仲良くしている慎吾に向かって、ため息混じりに呟いた。
大きな体躯の慎吾が背中を丸め、ウジウジしている姿は、うっとおしい限りで、私の機嫌も損なわれていく。
 土曜日にいつものように私の家に泊まりに来ていた慎吾は、私に相手にしてもらえなくて拗ねているらしい。

 確かに色々考える事があって、慎吾をほったらかしにしていたのは私が悪いが、ここまでイジイジされると、謝る気持ちも失せてくる。

 今年も慎吾と私はクラスが同じにならなかった。
慎吾はかなり悔しがっていたが、私は別に困らないと言ったのも悪かったと思っている。
そこに追い討ちをかけるように、慎吾から身体を求められても、私は断ってしまったのだ。

 理由?それは気分が乗らないって言うのもあるが、花見の時のエッチで、私は綺麗な腕にかすり傷を作ってしまったから。
あの時の慎吾はかなり酔っていたのもあるが、自分本位のエッチをされ、私は少し腹が立っていたのだ。
 だから、懲らしめてやるつもりで、今週末はエッチ厳禁を言い渡した。
そしたら・・・・このざまだ。

 私にも非があるから、謝っているのに、慎吾はなかなか機嫌を直してくれない。
いい加減、私も腹が立ってきた。

 「わかりました。いつまでもそうやって壁と会話していてください。私は出掛けますから」
 「えっ!?」

 最近引越しをした直哉の様子でも見に行こうと、私が立ち上がると、慎吾はやっと反応した。

 「天音・・・・俺を捨てて行っちゃうんやな・・・・酷いわ・・・」
 「はあ・・・・捨てて行くって失敬な・・・・慎吾がウジウジしてて可愛くないから出掛けるだけです」
 
 私は冷たく言い放ち、上着を掴むとドアへと向かった。
その瞬間、慎吾にタックルされ、私は身体ごと床に倒れこんだ。

 「痛い!何するんですか!!」
 「いやや・・・・行かせへん!!」

 私をギュウギュウ抱きしめる慎吾を引き剥がそうとするが、慎吾のバカ力には敵いっこない。
私はため息を吐くと、慎吾の頭を軽く叩いた。

 「全く・・・・どうすればいいんですか?」
 「俺の側に居ればええねん」

 慎吾は私の胸に顔を擦りつけ、私を離さないとばかりに、腕に力を込める。

 「ちゃんと私の気持ちも考えること出来ますか?」
 「俺はいつも天音のことばかり考えてるやん」
 「そうじゃなくて・・・・」

 説明しようとして私はそこで言葉を止めた。
多分慎吾には何を言っても無駄だと分かったから。
 猪突猛進が慎吾の良いところでもあるし、可愛いところでもあるって分かっている。

 素直に甘える慎吾は、手がかかるけど可愛いと私は思う。

 「慎吾・・・・顔を上げて」

 私は慎吾の耳に優しく言うと、その頬に手を添えて涙を浮かべた慎吾の瞳を覗き込む。

 「慎吾が乱暴な事をしなければ、私は慎吾を置いていったりしませんよ・・・ね?」

 僅かばかりの注意の意味を込めて慎吾に言って、私は慎吾の唇に甘いキスを送るのだった。