| 2004年 4月 13日(火) |
厳重注意?!
昨日の放課後。私はこっそり直哉を呼び出した。生徒会室ではなく、図書館に。
この所多忙な、私達生徒会役員だが、昨日の放課後は珍しく全員が生徒会室に顔を揃える事になっていたからだ。もちろん、用事があるから全員が集まる事になっていたのだが、そんな事よりも私には泣いていた咲良と瑞樹の方が大切なのだ。
可愛い、可愛い子犬コンビを泣かすなんて、許すまじ!隼人!
そんなこんなで勢い込んで約束の図書室に向かってみれば・・・げっそりと?やつれたような、何となく顔色も悪いような・・・直哉が待っていた。
「こんなところに、呼び出しだなんて・・・いい話の訳がないよなぁ・・・」
私の姿を認めた途端、直哉はそうこぼした。余りにもしょげかえったその姿に私も一瞬、言葉を飲み込む。
「・・・・・どうせ、隼人の事だろう?」
窓際の机に頬杖をついて、だるそうに私を見ながらそう言いきった直哉に私は頷いた。
困った・・・・・直哉がこんな風では、いくら私でも文句も言えないじゃないですか・・・。私は心の中でそう呟く。
「直哉、そんなに疲れた顔をして・・・一体どうしたんですか?」
今にも泣き出しそうな直哉に、私は思わず同情すら覚えた。
「・・・・・・・・どうしたも、こうしたも。入学式以来、聞こえて来るのは隼人の事ばかりさ。俺を、兄と慕ってくれるのはいい。でも、あいつの場合行き過ぎなんだ・・・」
言葉の最後の方は、本当に涙交じりの声だった。
「確かに・・・・・以前から、隼人君の基準は直哉でしたからねぇ・・・」
「だろう?高等部に来て、少しは収まってくれるかと期待はしていたんだが・・・収まるどころかあっちでも、こっちでも俺を引き合いに出すから・・・。一年の教科担当の教師の中には泣かされた先生もいるらしいしなぁ。・・・天音、どうすればいいんだ?!」
「うわっ!」
感極まった様子の直哉に私は制服の胸を掴まれ、思わず叫んでしまった。
「あ・・・悪い・・・つい、興奮して・・・・」
私の声で我に返った直哉が、ばつが悪そうに謝る。
「はぁぁぁぁぁ〜、どうしたもんかなぁ・・・・・」
溜息をつく直哉なんて、珍しいかもしれない。この姿を子犬コンビや、慎吾が見れば大喜び間違いなしなのでしょうけれど・・・今の私は本気で直哉に同情しているので、そんな意地の悪い事はしない。
「・・・・・この際だから、きちんと注意をするべきでは?このままじゃ、直哉の立場も無くなりますよ?」
隼人が、兄である直哉を慕うのは良い。でも、教師を泣かせたり、咲良や瑞樹・・・他の生徒にこれ以上の事をしてしまえば直哉の、副会長としての立場も無くなってしまう。
「注意・・・か」
心、ここにあらずといった様子の直哉に、今までの苦労が偲ばれる。
「まぁ、今までも散々注意はして来たと思うのですが。・・・仕方ありません、私が厳重注意をしましょうか・・・」
「本当か?!天音!」
どうやら、心の中で呟いたつもりが声になっていたらしい。直哉が飛びついて来た。
「頼む、天音。あとで礼は必ずする!何とか、隼人をなんとかしてくれっ!」
「わかりました。そのかわり・・・直哉もそうですが、生徒会全員に手伝ってもらいましょうか」
この際だから、隼人に咲良や瑞樹の事も認めさせてしまいませんと、と私は心の中で付け足した。