| 2004年 4月 22日(木) |
困った慎吾
昨日、一昨日と私に散々しごかれた・・・子犬コンビと慎吾は、心なしかぐったりしているような気がするのは、どうしてでしょう。
でも、咲良は咲良で学校から帰ったあと、更に雪紀に特訓させられたと聞いていますし、瑞樹も苦手な文系をカノンに見てもらったとの事ですから、一応あの二人はやる気はある、とみて良いでしょう。
今日も、今から雪紀やカノンに特訓してもらうんだ、と二人は生徒会室を出て行った。
やる気になってくれた咲良や瑞樹は、私の目にも頼もしく映っている。
尤も・・・・・・・今回の結果如何では、雪紀やカノンからのご褒美があるのも、咲良と瑞樹のやる気を起こしている一因だと思いますが。
問題は、やはり慎吾。
いい加減、勉強も飽きたのか・・・生徒会室の机につっぷして、ぐだぐだと文句を言っている。
「もう、ええやん〜。なんで、俺がこんなに勉強せなあかんのや〜!中間試験やて、もう少しで来るのに・・・今こんなん勉強したら、次の試験の勉強なんか出来るかいな〜」
グズグズ、だらだら。
「慎吾・・・、この問題を解き終わったら、美味しい物でも食べに行きましょうか?」
私は「秘儀・餌でつる」を炸裂させた。
「・・・・・・美味しいもん〜?!ほんなら、今から食べに行って、また後からこの問題やったらええやん〜」
プリントを片手に、ぴらぴらと振る慎吾。
「・・・・・・・・何を、馬鹿な事を言っているんですか!咲良と瑞樹があんなに頑張っているのに!!!あなたが、足を引っ張ってどうするんです!!!!!」
私の神経の一部が、ぷちん、と音を経てて切れた。思わず、真剣に怒鳴ってしまいました。
「ほんなん!俺が、勉強苦手なんは皆が知っとるやんか!こんな問題、どうせいっちゅーんじゃ!」
私に怒鳴られて、慎吾も怒鳴り返してきた。
「慎吾・・・・・・・」
今の今まで、慎吾に怒鳴られた事など無かった私は、情けない事に一瞬怯んでしまった。
「・・・堪忍、天音・・・・・」
怯んだ私の姿を見て、小さな声で慎吾が謝った。そして再び、机に顔を埋めてしまう。
・・・・・反抗期?これは、反抗期と言うものなのでしょうか。
美味しい食事にも釣られてくれない慎吾や、私を怒鳴った慎吾なんて、生まれて初めて目にした私は、脳の中にある「慎吾の生態日記」の書き換えを余儀なくされた。
このクイズ大会が終われば、次に控えているのは中間考査。今年3年の私達には大切な試験ですが・・・今、クイズの為に勉強している内容だって、十分テストに対応するんですよ?!と、声を荒げた所で今の慎吾には届かないでしょう。
白鳳の生徒会を揚げてのクイズ大会が、ただの大会であるものですか。
問題一つとっても、大学入試並の問題を出すに決まっているじゃないですか。
でも・・・・そんな問題ばかりじゃ、面白くありませんねぇ・・・。
ここは一つ、体力以外でも慎吾に花を持たせてあげなければ・・・・・・・。慎吾は益々拗ねてしまうでしょうし、益々扱い辛くなってしまわれても・・・私も困ります。
私は、まだ机につっぷしている慎吾を見ながらそう思った。
ポケットから携帯電話を取り出すと、クイズ研究会の部長に電話をかける。
『はっ、はい!あ・・・天音さんからお電話頂けるなんて、光栄です!!』
コール2回で出た彼の声は上ずっている。
そんなものはお構いなしに、私は問題に「バラエティー」を追加して欲しい、と依頼した。
『・・・・・・例えば、どんな?』
と、聞かれたので端的に答える。
「お笑いとか、芸能とか・・・ああ、ゲームでもいいですね・・・。とにかく慎吾が分るような問題も作っておいて下さいね」
私はそれだけ言うと、彼の返事を待たずに電話を切った。
「まったく〜、何で俺がこんな目に合わな、いけんねん・・・。確かに、隼人はむっちゃ、むかつくけど〜」
・・・・・慎吾はまだ、グズグズ言っている。
なにか手が動いているので目を凝らせば、消しゴムにシャープペンシルの先を突っ込んで穴を掘っている。
「慎吾・・・・・・」
呆れて、慎吾の名前を呼んだ。
「んんぁ〜」
返って来た返事の、やる気の無さに・・・どうしようもなく、頭がクラクラしてしまう。まるで、小学生を見ているようだ。
否、今時の小学生の方が、数倍マシかも知れない。
「慎吾、もう勉強しなくて良いですよ」
「何!ほんまか!!!」
思いがけない私の言葉に、慎吾の目に急に輝きが戻った。
「そのかわり・・・勉強はしなくて良いですから、あと2日でありとあらゆる芸能界のデータ、お笑い、ゲーム・・・きっちり頭の中に詰め込んで頂きたいのですが?」
「ほんなんで、ええならいくらでも入るわ〜!やっぱり、天音や〜。俺のこと一番わかってんのは、天音やなぁ」
ニコニコ、へらへら。さっきまでのぐだぐだした姿は一体、何だったのでしょうか。
「でも、慎吾。咲良と瑞樹にはきっちりと難しい問題で点を稼いで貰うのですから・・・あなたが得意な問題でしくじったら・・・分ってますよね?今度こそ、お仕置きですよ?」
にっこりと微笑んで、言い切った私を見た慎吾の表情は・・・心なしか、青ざめて見えた。