| 2004年 4月 28日(水) |
凄いぞ!白雪くん!!
何となしに、校内が騒がしいのは・・・やはり、あのクイズ大会のせいでしょうか。
放課後、生徒会室に向かうと、咲良、瑞樹、慎吾が揃っていた。
「咲良、瑞樹、本当に良く頑張りましたね。見直しましたよ」
室内に入り、咲良と瑞樹にそう声をかけると二人は嬉しそうににっこりと笑った。
「なんや〜、俺はあんなに頑張ったのに・・・何で、咲良と瑞樹は褒めて、俺は褒めてもらえないんや〜」
しくしく・・・、と慎吾がわざとらしい泣きまねをして私に擦り寄って来た。
まったく・・・あなたには、あのクイズ大会の後、十分ご褒美を上げたじゃないですか・・・と、心の中で毒づいたが、咲良と瑞樹の手前それを口に出して言うわけにもいかず・・・。
「ああ、はいはい。慎吾も本当に頑張りました」
仕方なく、私は大型件を撫でるように・・・少々乱暴に慎吾の頭を撫でてやった。
「せやろ〜、俺、天音のために頑張ったんやで〜」
私の心の独白も知らず、慎吾は撫でられてとても嬉しそうだった。
「なんだ、皆揃っていたのか」
がらり、と生徒会室の戸が開いて雪紀が顔を出した。その後ろには直哉もいる。
「雪紀さん!」
雪紀が来た途端、咲良がそれは嬉しそうに雪紀の元に駆け寄った。・・・私には、そんな事してくれないのに・・・、と思わず嫉妬してみる。
「咲良、よく頑張ったな。体は大丈夫か?昨日、一日ゆっくり休んだか?」
雪紀が、誰にも見せない笑顔で咲良を褒める。
「大丈夫。雪紀さん達が、クイズ大会の出場者は昨日一日、休みにしてくれたから、沢山寝ちゃった〜」
土日を使って行ったクイズ大会だったが、あまりのハードさに?月曜になってから、体調を崩して保健室に行く出場者がかなりの人数に上ったため、急遽学校に掛け合って、彼らは昨日一日「公欠」という事になったのだ。
「慎吾、咲良・・・瑞樹、ありがとう。きっと、これで隼人も少しは大人しくなってくれると思う」
直哉が、いきなり頭を下げた。
「直哉、どうしたん?そんなん、水臭いやないか〜」
「そうですよ、俺達もお陰で色々な勉強させてもらったし・・・」
「お陰で、雪紀さんと一杯一緒にいられたし〜」
・・・いえ、それはちょっと違うんじゃ・・・?と、咲良に突っ込みを入れようとした、その時。
廊下が急に騒がしくなったと思った途端、ガン!と物凄い音がして、戸が開け放たれた。
「何ですか、騒々しい・・・」
一体誰が、こんな礼儀も知らない事を・・・、と、私が注意しようと振り向くと・・・・・。
「何だよ!俺は、納得してないぞ!あんな大会なんて、詐欺じゃないか!!!」
怒りに顔を歪ませた、隼人が立っていた。
「あんな、最後の競技・・・一体、誰がそいつに勝てるってんだよ!」
ビシッ、と慎吾を指差して隼人が叫んだ。
「詐欺じゃないか、そんなオリンピック候補に上がるような奴が泳いで、誰が・・・誰が勝てるんだよ!!!」
ダンダンと足を踏み鳴らしながら、隼人は喚く。
「いい加減にしろ!隼人!」
見かねた直哉が、怒鳴った。
「だって、兄ちゃん・・・・。こんなのずるいじゃないか!どうやったって、こいつらが勝つように決まっていたんだろう!」
「隼人!」
まるで子供のように駄々を捏ねる隼人に、直哉の拳が振り下ろされようとしたその瞬間。
パシン、と小気味いい音がした。
しかし、直哉が隼人を殴ったにしては軽い音だ。
直哉を見れば、その拳は握られたまま振り下ろされてはいない。
「・・・・・先輩方、ご迷惑をおかけしました」
放心している隼人の隣で、白雪が頭を下げていた。
そうか、さっきの音は・・・白雪君が隼人を叩いた音だったのですね、と、私は納得する。しかし・・・彼は一体、いつの間にここに現われたのでしょうか。隼人が来た時には姿は見えませんでしたが・・・。
「いい加減にしたら、どうですか?滝君。それ以上、負けた言い訳をするのなら、僕は君を軽蔑します」
白雪は立ち尽くしている隼人に、はっきりとそう告げた。
「どんなに文句を言ったって、先輩方の優勝は間違いの無いものでしょう?オリンピック候補者が、競技に出てはいけないなんていうルールがありましたか?第一、桜庭先輩がそれだけの成績を修めている事は少し調べれば簡単に分る事です。最初から、侮ってかかった君が悪いんじゃないですか?」
淡々と紡ぎ出される白雪の言葉に、隼人は言葉を無くしたままだった。
そして私達も、彼の言葉に口を挟む事も出来ずにいた。
「本当に、お騒がせしてしまいました。・・・優勝おめでとうございます、先輩方。こんな優秀な生徒会がある学園で学べて、僕は嬉しいです。これからもよろしくお願い致します」
ぺこり、と頭を下げると白雪は黙って立っていた隼人を促す。
「さぁ・・・きちんと謝って下さい。君が頭を下げなければ、僕達のクラスの恥ですよ?」
「ごめん・・・兄ちゃん・・・。それに、先輩たちも・・・・・」
促された隼人は、言いにくそうにもごもごと口ごもりながら、それでも一応は頭を下げた。
「それでは、失礼します」
白雪は最後にそう挨拶をすると、隼人を連れて戻って行った。
「・・・・・何だ、あの一年は・・・・・」
雪紀がぼそりと呟いた。
あの、隼人を黙らせて・・・その上、誤らせるなんて芸当をこなすとは・・・・・。
これはもしかしたら・・・私達は物凄い逸材を発見したのかも知れませんね・・・・・。