| 2004年 4月 30日(金) |
体力測定
昨日の疲れを引きずったまま、今日の体力測定を迎えてしまった。
私たち生徒会のメンバーは、学園の行事を纏める役目があるが、今回はその殆どを運動部で担っている。
よって運動部長の慎吾は朝から走り回っている状態だった。
人を纏める能力の無い慎吾だが、今回は運動関係とあって、なかなか頑張って、いい働きをしているようだ。
「さて・・・・次は短距離走・・・・・と・・・」
クラス単位で動き、順次測定をして歩くという方法で、全校が動いている。
学園中を忙しなく生徒が行きかい、わたしは少しだけうんざりしていた。
しかし、測定をサボるわけにはいかないから、私は重い足取りでグラウンドへと向かった。
「おお〜天音・・・・・調子はどうや?」
「誰かさんのお陰で、絶不調ですよ・・・・」
短距離の担当は慎吾だったようだ。
ストップウォッチを首から下げ、慎吾が私に駆け寄ってきた。
「ほな、天音・・・・スタートについて・・・」
無駄話をしている暇は無いらしく、慎吾が私を急かした。
私は頷いてスタートラインに立つ。
「位置について・・・よーい・・・・」
ピストルの軽い音と同時に足を踏み出し、私は走り出した。
8人で一斉に走る。
私は全力を出さなかったが、周りの奴らもやる気が無いのか、一着で私はゴールを駆け抜けた。
「天音お疲れ・・・・・本気出さへんかったやろ?」
「まあ・・・ね・・・別に早く走っても何の得もありませんから・・・・」
「おおっ!?」
慎吾と暫く他愛も無い話をしていると、私たちと少し離れた場所で、どよめきが起こった。
「・・・なんですか?」
私と慎吾は会話を止めて視線を向けた。
「ああ・・・・雪紀と直哉やわ・・・・・」
トラックの中に設置された高飛びのところで、すごい人だかりが出来ていた。
そこで飛んでいた雪紀と直哉を取り囲んで、歓声が上がっているのだ。
「何をやっても目立つ二人ですね・・・・」
「ほんまや・・・・・」
どうやら雪紀と直哉は記録を張り合っているらしい。
飛んでいる高さはすでにうちの学園の陸上部の選手の記録を抜いてしまっている。
「雪紀さ〜ん頑張れ〜」
「兄ちゃん!!かっこいい!!」
もちろん人だかりの最前列では、咲良と隼人が陣取って、声援を送っていた。
「あの子たちは・・・・・」
自分のクラスの流れをそっちのけで、三年生のところに混ざっている咲良と隼人に私は眩暈を感じた。
これでは体力測定が滞ってしまう。
私はため息を吐くと、2人を注意する為に足を踏み出した。
その時・・・・・・
晴れ渡った青空に、小気味良い音が響き渡った。
「いってーーーーっ何すんだよ!?」
頭を叩かれた隼人が怒りを露わに怒鳴り散らした。
その側にはスリッパを握り締め、眉を吊り上げた白雪君が隼人を睨みつけていた。
「どこに行ったかと思えば・・・・こんなところで油を売って・・・・いい加減にしてください」
「ああ?いいじゃん別に・・・・」
「良いわけないでしょ?君がサボっていると、うちのクラス全体が迷惑を被るんです」
「つーか・・・何でスリッパ・・・・」
私も疑問に思った事を、横にいた咲良が白雪君に尋ねた。
「何度も叩いていたら、僕の手が痛くなるので・・・・」
「そ・・・そうなんだ・・・・」
そんなに手が痛くなるほど、白雪君は隼人の頭を叩いているのだろうか・・・・
「みなさん・・・大変お騒がせしましてすいません・・・これは連れて帰りますので」
「いてっ・・・・お・・・おいっ・・・」
周りにペコリと頭を下げると、白雪君は隼人の耳を摘んでスタスタと歩き出した。
「見事やな・・・・・・」
私の横で慎吾が呟く。
私もその言葉には同意する。
白雪君はすっかり隼人を操縦しているらしい。
隼人は白雪君が迎えに来たが、咲良は・・・・・
今度こそ注意しようと私が歩き出すと、背後から瑞樹の鳴き声が聞こえてきた。
「やっぱりここかぁ〜〜〜頼むよぉ〜咲良〜〜〜〜〜」
居なくなった咲良を探し回ってヘロヘロの瑞樹が涙を浮かべて駆け寄ってきた。
「ご・・・ごめん・・・」
流石の咲良も瑞樹の姿を見て反省したのか、気まずい顔で謝っている。
咲良も瑞樹に手を引かれてグラウンドを後にした。
まったく・・・・咲良は隼人と同レベルですか?
白雪君の方がしっかりしているようだ・・・・
やっぱり白雪君を生徒会に入れるのが得策だろうかと思わずには居られない私だった・・・・・