| 2004年 4月 7日(水) |
オリエンテーション
入学式が終わり、今日は新入生のオリエンテーションが行われた。
オリエンテーションは生徒会に全部任されており、教師は一人も出席していない。
とはいえ、生徒会の顧問である祥太郎先生は、私たちの横でちょこんと座ってニコニコしていた。
白鳳学園のオリエンテーションは、生徒会の紹介、学園の紹介、そして部活の宣伝などを行う事になっている。
壇上に生徒会のメンバーが上がり、自己紹介をする。
幼稚舎から大学まである白鳳学園では、持ち上がりの生徒が多く、私たちの顔も知れている。
カリスマ生徒会長といわれる雪紀が挨拶をすると、会場中から黄色い声が上がった。
「ここって男子部なのに・・・・」
その歓声を聞いた瑞樹と咲良が、顔を引きつらせて呟いた。
瑞樹と咲良は高校になってから学園に入ったので、この現象には付いていけないらしい。
その後直哉が挨拶すると、雪紀ほどではないが歓声が上がった。
それはまだいいが、その新入生の群れの中からいきなり立ち上がって大きく手を振る生徒が一人。
「兄ちゃん!!すっげーかっこいい!!最高−−−−っ」
「隼人・・・・・」
直哉を溺愛している弟の隼人が立ち上がって手を振っていた。
周りの生徒たちはざわめきだし、直哉の眉間に皺が寄った。
「そこの一年生・・・静かに・・・」
直哉は静かに隼人を注意するが、隼人は一向に気にせず、直哉自慢を始めてしまった。
これは私が行って注意するしかないですかね・・・・・・
そう思って私が歩き出した時、一人の新入生がいきなり隼人の頭を叩いた。
「イテッ・・・何すんだよ!?」
「オリエンテーションが進まないから静かにしてください」
凛とした声でその生徒は隼人に注意をした。
「何だよお前・・・・俺が兄ちゃんをかっこいいと言って何が悪い」
「それは構いませんけど、そういうことは場所を考えてやってください。大体、あなたのような大きい人が立ったら、先輩たちの顔が僕から見えないんです。座ってください」
「お前生意気・・・・」
「それに、あなたがそんな事していると、あなたの大好きなお兄さんにも恥をかかせることになるんじゃないですか?」
「うっ・・・・」
隼人より随分小さく、線の細いその生徒は、隼人が言い返すより早く、隼人に意見をし、とうとう隼人を黙らせてしまった。
暫く2人はにらみ合っていたが、結局隼人が負けを認めたのか、大人しく席に座ってこの騒動は幕を閉じた。
「ふ〜ん・・・今年の一年にもなかなか面白い生徒がいるようですね・・・・」
あの隼人を黙らせたその生徒は、自分の席に戻り、涼しい顔で座っている。
私は壇上からその生徒を観察した。
一見女の子にも見えるほど整った容姿をしているが、僅かに挙がった眉がその気の強さを表している。
瞳にも力強さを宿しているようで、私はその生徒が気になった。
「瑞樹・・・・」
「はい?」
「後でさっきの新入生の事調べてみてください」
私は横に座った瑞樹に囁くと、自分の挨拶をする為に、中央のマイクに向かって歩き出した。