| 2004年 5月 16日(日) |
余計なことを…
引き続き慎吾が家にいる。今日は感心にもちゃんと京都関係の本を抱えている。
慎吾と本と言うのはどうにもミスマッチらしく、おやつを持ってきてくれたお弟子さんたちが、珍しそうに話しかけている。
「修学旅行やねん。京都へ行くんや。
神戸とか、俺のテリトリーの大阪へも行くねんで。」
楽しそうに話をしている中に、古株のお弟子さんも混じっている。何か嫌な予感がするな…。
「あら、楽しそうねえ。京都といえば、私たちも3年前に、大先生と若先生のお供で行ったわよ。」
「3年前言うたら、天音はまだ中学生やな。可愛かったやろな。」
「そりゃあもう。道を歩けば女の子と間違えられてねえ…。」
慎吾がでれでれと鼻の下を伸ばすのはいつものことだが、そのお弟子さんも相当うっとりした顔つきだ。
「あんまりかわいらしいから、舞妓さんの衣装を着せてくれるところへ一緒に行ったのよ。」
…一緒に行ったんじゃなくて、引っ張り込んだと言うのが正しいのだが…。
しかし、そんなことでツッコミを入れている場合ではない。
私は故意にそれを慎吾に知らせなかったのだ、なぜと言うに。
「舞妓さんの衣装を着せてくれるところ! そんなんがあるんかいな!」
「ええ、人気があるからきっとまだあるんじゃないかしら。」
「俺もやりたい!」
…ほら、慎吾は絶対そう言うと思ったのだ。
どうしてなんだ、どうしてそんなに女装が好きなんだ、慎吾!
「俺ら白鳳の美男4天王なんやで! あ、祥太郎センセも、職員の中じゃぷりてぃーナンバーワンや!
だからきっと、舞妓さんになったら、ものすごウケル!」
美男四天王なんて…誰が決めたんだ。
それに慎吾以外はそんなことでウケタクないと思う…。
「し、慎吾…。」
慎吾が暴走しないうちに止めようと思ったのだが、お弟子さんたちは私の行動などお見通しだった。
「早速予約入れときました。これがスケジュールですね。5人でいいんですよね。」
「おおっ、ナイスコンビネーションやっ!」
「よ、予約って…。」
「最近は外国のお客様も多いから、身長の高い方も大丈夫ですって!」
「綺麗になったら、お写真とってきてくださいね!」
「おうっ! まかしときっ!」
よ、余計なことを…。
居間がにぎやかなのに気付かれたのか、おばあさまが顔を覗かせた。
「あらまあ、賑やかなこと。なんのお話?」
「大先生、若先生が修学旅行のお土産に、美しい舞妓さん姿のお写真を撮ってきてくださるんですって!」
「おうっ、俺のも一緒や! 雪紀と直哉と祥太郎センセのも撮ってきたるで!」
目を見開いたおばあさまは、止めるのかと思いきや、にっこり笑った。
「まあ、楽しみだこと。」
「大先生、またコレクションが増えますね。」
聞き捨てならないことを聞いた気がする…。
コレクションて…なんですか、おばあさま…。