| 2004年 5月 20日(木) |
マスタープラン
午後の授業をつぶして、修学旅行の説明会が行われた。
広い講堂に3年生全員が集まった。
先生方のお話─注意点やら、修学旅行の意義やら、その他もろもろの退屈な話だ─が終わると、雪紀が壇上に上がった。
旅行委員は別にいたはずだが、ちゃっかり指揮権を握っているあたり、いかにも目立ちたがりの雪紀らしい。
「今回の旅行は、皆さんも知っているとおり、基本的に班行動です。
皆さんの旅行プランは一通り目を通させてもらいました。
遠方にまで足を延ばす班もあるようだけれども、全員白鳳の誇りと気品を忘れずに、折り目正しく危険のない旅行を楽しんできて欲しい。」
…よく言う…。
鞄に溢れんばかりのタバコを詰めて、羽目をはずそうと企んでいる張本人が…。
すると、私のクラスの生徒の一人が手を上げて立ち上がった。
あれはよく見ると、最後の最後まで私に同じ班に入れと言ってきた親衛隊のやつだ。
「参考までにお聞きしたいのですが、天音さま…いえ、生徒会の皆さんはどのようなプランを立てられたのですか?」
声が上ずっている。下心見え見えだ。
雪紀はちょっと考えるように腕を組んだ。
「それではマスタープランとして、生徒会のプランを白鳳のHPに載せておきましょう。
まだ行動の詳細が決まっていない班は、それを参考にするように。」
ば、ばか…!
うちの班のプランは、実は結構ロクでもないのだ。
神戸はともかく、慎吾アシストによる大阪食い倒れツアーとか、舞妓コスプレ練り歩きツアーとかあるんだぞ!
雪紀が面倒くさがるのを幸いに、プランをちゃんと見せていなかったのがまずかった…。
あんなのが公表されたら、見物人の山で…民族大移動が始まってしまう…。
私が必死に顔をしかめて見せるのが、壇上の雪紀に伝わらないらしい。
雪紀は、不思議そうな顔で少し目を瞬いただけだった。
私のプランを尊重…というか、信じてくれるのはありがたいのだが…、もうちょっとひらめいてほしい…。
結局そのまま雪紀は、プランの公表と、行動の同伴を許可して壇上を下りてしまった。
………どうするんだ当日!