2004年 6月 22日(火)

お気に入り

 「なんや、楽しそうやなぁ〜天音」

 突然家にやってきた慎吾が、私の膝枕でごろごろしながら見上げて聞いてきた。

 「そうですか?別に普通ですよ?」

 しれっとして答えたけれど、さすがは慎吾。こんなにポーカーフェイスを装っているのに、気が付くなんて。

 いつもは鈍感なところが多いのに、私の些細な違いに気が付いてくれてるのが分かって、私は気分が良くなった。

 楽しいに、決まっているじゃないですか。

 あの、小生意気な隼人にどうやって一泡拭かせてあげるか・・・考えているんですから。

 「・・・・・やっぱり、なんや楽しい事考えてるやん」

 私は返事の代わりに笑顔で返すと、慎吾の大きな手が私の頬を優しく撫でてくる。

 「何かたくらんどるやろ〜。天音がそんなん顔するときは絶対、なんやいけずな事考えてんねや〜」

 どうしてか慎吾も嬉しそうです。

 「天音?俺にも教えたって〜」

 眼を輝かせてそう言う慎吾は、大きな犬が飼い主に「遊んで」と言っているようで。

 「だから・・・何にも考えていませんよ?」
 
 教えてあげるのは簡単ですが、慎吾は今一お口が軽いので・・・まだ作戦が決まっていない今は、言いたくありません。

 のらりくらりとかわす私を慎吾は簡単にベッドに運ぶと、覆いかぶさって来る。

 「ふ〜ん、別にええけど。こっちの口が言わないんやったらもう一つの口に聞くさかい」

 まるで子供が悪戯を仕掛けてくる時そのものの表情で、慎吾は楽しそうにしています。

 「な、教えてや?」

 そっと、唇に慎吾の指が触れてくる。私がその指先を舌先で舐めると慎吾の目が細められます。

 私の大好きな慎吾の顔。

 いつものおちゃらけている顔も好きですが、こんな風に・・・「男」の顔を見せる慎吾も私のお気に入りなのです。

 夜はまだ、始まったばかり。