| 2004年 6月 24日(木) |
番犬に変身
昨日はあれから、非常に忙しくなってしまいました。
いつまでもぐずぐずと拗ねている?慎吾をお供に行きつけの美容院に行って、不揃いの髪を綺麗に揃えてもらった。
勢いで髪を切ったのはいいのですが、いくらなんでもあんなにばらばらの頭では家には帰れません。
おばあさまも、母も驚いてしまうでしょうから。
『・・・・どうされたんですか?』
私を見るなり絶句した担当は、驚きのあまりか体が震えている。
いちいち説明をするのも面倒なので、適当に言い訳をして肩ほどで揃えてもらう。
鏡越しに慎吾を見れば、座ったまま呆然と私を見ていました。
カットをして、シャンプーをして・・・乾かしてもらう間中、担当は慎吾同様に放心していた。
それでも流石はプロ。
私が思うとおりに、綺麗にしてくれました。
仕上がりに満足した私は、隼人に意趣返しを出来たせいもあって、かなり上機嫌だったのですが・・・慎吾はそうではありません。
「信じられん、何で、こんなにすんねや〜」
とぼとぼと私の後ろを歩いて付いて歩きながら、慎吾はひたすら恨み言を言っていました。
「煩いですよ、慎吾。貴方も、髪の長さ一つで私を判断するのですか?」
いい加減に鬱陶しくなって、私は冷たく言ってしまいました。
「ち、ちがうで!そんなんやない!誤解せんときや〜」
慎吾は慌てて頭を振って、私の隣に並ぶと懸命に弁解します。
「俺が言ってんのは、そんなんやない!ただ・・・・・」
「ただ?」
「あんなに、天音に似合うてた長い髪が・・・こんなんになったんは、隼人のせいやと思うと、悔しくてたまらんのや!」
悔し涙を浮かべながらそう言う慎吾が、非常に可愛らしく思えてしまうのは何故でしょう?
「そうですね・・・確かに。隼人のせいと言えば、そうなのですが・・・・・」
ここぞとばかりに、私は俯いて儚げな風情を演出する事を忘れません。
「せやろ!隼人のせいや!!俺が切って、って言うたんならこんなん悔しい訳あるかい!まぁ、髪が短い天音も今まで通りのべっぴんさんやけど・・・でも!隼人は絶対に、許さへん!!!!」
握りこぶしを天にかざして、慎吾は絶叫しました。
「慎吾・・・・・」
私は潤んだ瞳で慎吾を見上げます。
「天音!絶対、仇はとったるさかいな!そんなに泣かんといてな・・・?」
「ええ・・・慎吾がそう言ってくれるのが、とても嬉しい・・・」
私の芝居にころりと騙された慎吾は、必死で私を慰めてくれます。
うふふふふ、思った通り。
私があの状況で髪を切った理由は、これなのです。
本気で仕返しをしようとする慎吾はかなりしつこいですよ?あのざりがに騒動の時に、私が実感したのですから。
明日からは隼人も、やすやすとは生徒会室や・・・私達に文句を言ってはこれないでしょう。
放っておいても髪はいずれ伸びます。けれど、その髪の毛一つでこの大きな犬が本気になってくれるのなら安いものです。
・・・・・普段は駄犬もかくや、という慎吾ですがこうなれば立派な番犬。
せいぜい隼人には・・・痛い目にあって貰いましょう。