2004年 7月 1日(木)

嫌な予感

 何だかおかしい。

 何が?と聞かれれば答えに困ってしまいますが、絶対におかしい。

 私が生徒会室に行くと、咲良と瑞樹が来ていた。いつもなら私の顔を見れば嬉しそうに『天音先輩だ〜』と寄ってくるのに。 

 今日に限って私の顔を見た途端、妙に慌てていた。

 「どうかしたのですか?」

 そう聞けば、すぐに返事は返ってくる。
 
 「いえ、どうもしてません」

 「何にもないですよ〜?」


 絶対に、おかしい。

 返事をしながら何かを背中に隠したのを私が見逃す筈が無い。

 「・・・・・何を、隠したのですか?お見せなさい」

 満面の笑顔でそう言えば。

 「え?何にも隠してなんかいないよね!咲良」

 「う、うんっ!何にも持ってないよね〜瑞樹」

 そう言いながら、二人が背中に回した手で何かをやり取りしているのが見える。

 「そうですか。ではその後ろに持っている物は?」

 言うが早いが、私は二人の背後に回りこむとさっさとそれを取り上げた。



 「うわっ!」

 「やばっ!」

 二人が慌てた所でもう遅い。それはすっかり私の手に握られている。

 「何にもないんですか?これは?」

 見せ付けるように、手に持ったそれをかざせば・・・単なる雑誌だった。

 「なんですか?・・・・・W・プロレス?・・・二人とも、こんなもの好きでしたか?」

 隠し持っていたのはプロレスの週刊誌だった。1年以上この二人と付き合いがあるが、今の今までプロレスが好きだ何て聞いた事もなかった。

 「ふ〜ん・・・汗臭そうですね・・・・・」

 ぺらぺらとページを捲れば、リングの上で仁王立ちしているレスラーの姿や、両手を上に上げている姿・・・・・果てや、リングサイドのポールから飛んでいる姿など様々な写真が載っている。

 「別に、好きとかじゃなくて・・・」

 「クラスの友達が貸してくれただけです〜」

 だから返してくださいよぅ、と声を揃えて言う二人に私は素直に本を返す。

 「まったく、変に隠すから何を持っているかと思うじゃないですか」

 慌てて隠すからどんなエッチな本を持っているのかと思えば・・・・・、たかがプロレス雑誌とは。

 咲良も瑞樹も不思議な行動をするものだ。


 しかし・・・・・『良かったね〜』と本を片手に素直に喜んでいる二人の姿に、嫌な予感が過ぎったのはどうしてだろう。