2004年 7月 11日(日)

慎吾の不在

 おかしい。どう、考えてもおかしい。

 昨日から慎吾の様子や雪紀たちの行動がどうにも腑に落ちないのだが、その理由が今一わからない。

 私に何かを隠しているのは、間違いない。

 しかし当の雪紀は多忙を極めていて捕まらないし、慎吾もプールに入り浸り。いくら私でも、泳いでいる最中の慎吾を捕まえにプールの中に入るほど、酔狂ではない。
 それに・・・・・祥太郎先生の行動も不可思議だ。

 


 「何で、出ないんですか?!」

 どうにも辛抱ならなくなって慎吾に問いただそうと思い電話をかけても、繋がらない。

 留守電にもなっていない。

 耳に当てた携帯が『この電話は現在通話の出来ない所に・・・・・』とお決まりの文句を繰り返してくる。

 あの慎吾が、私からの電話に出ないなんて事があっていい筈がない。たとえどんな時でも、今まで一度としてこんな事はなかったのに。

 


 仕方なく、咲良に電話をしてみる。咲良の電話はきちんと繋がって、少し安心する。

 「もしもし、私ですが」

 『・・・・・・なんだ、天音か』

 咲良の可愛い声を想像していたのに、聞こえて来たのは雪紀の声だった。

 「どうして咲良の電話に、雪紀が出るんですか?」

 『どうしてって・・・咲良が出れないからだろう』

 恋人の電話に出て、何が悪い!とふんぞり返っている雪紀の姿が目に浮かぶ。

 「なんで、出れないんですか」

 聞いてから、しくじったと思ったが遅かった。

 『それを聞くのか?俺は別に構わないが・・・・・・』

 「結構です!」

 理由など、聞かされては堪らない。私は電話を一方的に切ってしまった。

 雪紀の言葉で、思わずその裏にある淫らな空気を感じ取った私は、赤面してしまう。

 どうも咲良に電話をするときは、タイミングが悪く雪紀が出てしまう事がある。

 私には人様の・・・濡れ場を覗き見したり、盗み聞きする趣味はない。



 全く、気分が優れない。それもこれも慎吾が捕まらないからだ。

 一体どこへ雲隠れしてしまったのか。

 明日に迫った球技大会が、とても不穏なものに思えてくる。