| 2004年 7月 14日(水) |
球技大会・その3
バスケの試合の後、昼を挟んで午後の競技になるとの事で・・・私は慎吾たちと一緒に生徒会室に向かった。
そして・・・そこには予想だにしなかった恐ろしい物が私を待ち構えていた。
「これは、一体・・・?」
雪紀から「着替えろ」と言って手渡されたそれは、純白のレザーで出来た、どこからどう見ても「女王様ルック」(短パン仕様)だったのだ。
おまけに、ヒールの高い白いブーツと、白い鞭まで揃っている。
「何って昼からの競技で必要なんだよ。咲良と、瑞樹・・・慎吾とお前が出場登録してあるからそのつもりで」
「・・・・・競技って、一体・・・・・・」
私は何が起こっているのか理解できず、それらを手にしたまま固まってしまう。
「は〜い、プロレスで〜す」
「もうリングネームも決まっているんだよね♪」
子犬コンビが嬉しそうにはしゃいでいる。何がそんなに、嬉しいのだろう。
文句の一つも言ってやらねばと、二人の姿を見て私は絶句してしまった。
これが・・・これが、現役高校生の、しかも男子のする格好なのだろうか・・・・・。
咲良は黒のホルターネックのカットソーに短パン。瑞樹はお揃いの白い服。しかも尻には咲良には悪魔のしっぽ、瑞樹にはウサギのぽんぽんしっぽが付いている。
そして同色のリングシューズ。履き口はレースで縁取られていて、何気に手が込んでいる。
なんの素材で作られているのか、てらてらとしたそれらは・・・・・・・あまりにも二人に似合いすぎて、頭がくらくらしてくる。
「あなたたち・・・いいんですか、それでっ!?」
「え〜、だってぇ。雪紀さんが喜んでくれるし」
「カノンも見に来てくれるって言ってたし」
駄目だ。何を言っても通じない。咲良と瑞樹はかなりまともな感覚だと思っていたが、十分に毒されていたらしい。
ここ数日、雪紀達が何かを隠していた様な気がしたのは・・・これだったのか。
「おい、もたもたするなよ。時間だ」
恐らく首謀者であろう雪紀は、当たり前のような顔をしている。
「は〜い、じゃぁ俺達行ってますね〜」
「天音さんも、早く支度して来て下さいね〜」
るんるんと鼻歌交じりで、咲良と瑞樹は生徒会室を飛び出して行った。
「あっ、おい!忘れてるぞ!」
今まで何処に隠れていたのか、直哉が何かを手に持って二人を追いかけて行く。すぐに追いついて・・・そして。
咲良と瑞樹は可愛いファーで縁取られたマントを羽織り、頭には小さな王冠を付けて嬉しそうに走り去って行った。
「おい、天音。覚悟を決めてさっさと支度しろ。第一、お前が隼人を何とかしたいって言い出したんだろ?俺達がこんなに協力的なのに、言い出したお前がそんなんでどうするんだ」
明らかに雪紀は面白がっている。非常に・・・・・腹立たしいが、確かに言い出したのは私だ。
「分かりました!着替えますから出て行って下さい!・・・後で、覚えておいて下さいね・・・・・」
私は雪紀を睨み付け、そのまま直哉もろとも廊下に追い出す。
なにが悲しくて、人前にこんな格好をさらさなければならないのか。悔しさで、衣装を握っている手が震えてしまう。
「それもこれも、隼人のせいですね・・・。ふっふふふふふふ・・・・・泣かせてあげますからね・・・・・」
鞭を手に、私は開き直った。
それにしても、慎吾は一体何処に?!いつの間にか、消えていなくなっている・・・・・。