| 2004年 7月 18日(日) |
球技大会3・隼人
「何で、あんたたちはいつもそうなんだよ・・・・・」
私たちに遅れる事数分。
まったく普通に入場してきた隼人はリングサイドに辿り着いた途端、脱力していた。
「なにが、そうなんです?」
私はリング上で隼人を見下ろしながら、胸を張ってそう答えた。だって今の私は「女王様」なのだからそれらしく振舞わなくてはいけないだろう。
「だから〜、どうしてそんな格好をしなきゃいけないわけ・・・?」
「そんな格好って?」
「だからそれだよ、それ!天音さん、どこのSMクラブの女王様だよ!」
隼人は私を指差して叫んだ。
「それに、その後ろにいる変態!」
今度は私の背後にいた慎吾を指差す。
「なんや〜、俺が変態やの?なんで???これで笑い取ったし、何かあかんかったか?」
なぁ、天音・・・と聞かれてわたしは即答できなかった。確かに私の「女王様ルック」もどうかと思うが慎吾のそれは私の上を行くだろう。
「本当に・・・何であんたらみたいなのが、兄ちゃんと一緒に生徒会やってんだよ。俺の兄ちゃんがどうしてこんな変態と一緒にいなきゃいけないんだよ!」
・・・・・・・・本当に、このブラコン小僧は。
直哉だって十分に生徒会役員として恥ずかしい格好を晒して歩いているのに。私たちだけを「変態」なんて呼ぶのは許されませんね。
「お黙り!ぐずぐず言ってないで、さっさとリングに上がっていらっしゃい!」
私は手にしていた鞭を振り下ろした。別に叩くつもりはなかったのだが、隼人の腕を直撃してしまった。
「痛てぇっ!何すんだよ!そんなの凶器じゃないかっ!反則だ、反則!!!」
レフェリーに向かって隼人が大げさにアピールした。けれどレフェリーは私から反則を取らなかった。
当たり前だ。隼人はまだリングに上がっていないのだし、試合は始まってはいない。
「ほら、さっさと上がっていらっしゃい。ほら、ほ〜ら」
私は何だか面白くなって、リング下にいる隼人に鞭をぷらぷらと振ってみせる。そして隼人が上がってこようとする度に、そこ目掛けて鞭を振り下ろす。
「ぎゃっ、やめろ!天音さん性格悪すぎっ!痛い、痛いって!!!」
鞭が隼人を掠めるたびに、ひーひー言って逃げ惑うので私は楽しくてしかたがない。これはもしかしたら、慎吾以上に面白い玩具かも知れない。
いつのまにか私はすっかり「女王様」モード全開だったらしい。会場から『天音さま〜』『俺も叩いてくれっ!』『女王様!!』なんて言葉が聞こえてくる。
それに反応したのは、慎吾だった。
「天音、もうええやないか!遊んどらんと俺に代わりぃ!」
青いコーナーポストから私に手を差し伸べている。・・・会場からの「天音様コール」に焼餅でも焼いたらしい。
「そうだっ!早くあの変態蝶々と代わってくれよ!天音さんが相手じゃ、プロレスになんねーよっ!」
私の鞭が届かない範囲まで逃げた隼人が半泣きの顔で私を睨み付けた。
まったく、子供なんだから・・・。