| 2004年 7月 20日(火) |
球技大会その3・ようやく試合
「もう、いい加減にしろよ!いつになったら試合が始められるの?!」
思いがけない伏兵が、居たものだ。
突然現れた白雪が、隼人の耳を掴んで怒鳴ったのだ。
一体どこから現れたのだろうか。
「痛ぇっ、なにすんだよ、白雪!お前がいつまで経っても来ないから試合が始められねーじゃねぇか!」
耳を捕まれたまま、隼人が暴れている。そう言えば・・・・・今回の試合は「タッグマッチ」とかいうのだったな。
今まで気がつかなかったけど、そうか・・・隼人のほうは、一人しかいなかったのか。
「何でそんなに無駄に元気なんだよ!第一、隼人がいきなり俺に出ろっていうからじゃないか!どうして俺がプロレスになんか出ないといけないの!?」
おや、白雪もなかなか言いますね。傍から見ていると隼人の方が押されているような気がしてくる。
「何でもいいから、この手を離せよ!いつまで掴んでんだよ!」
耳を掴んだままだった白雪の指を、隼人は無理やり毟り取る。
「とにかく!お前にリングに上がれなんて言ってねぇし、プロレスをさせるつもりもねぇよっ!どうせ俺が勝つからなっ!白雪はそこで見てればいいんだよっ!」
叫ぶや否や、隼人が慎吾に向かって猛タックルで突っ込んで行った。
「なんや、急に。牛みたいなやっちゃなぁ〜」
ちっとも慌てていない慎吾は、のらりくらりと隼人をかわす。
「ちょろちょろすんなっ!変態蝶々!!」
「誰がやねん!」
とうとう隼人と慎吾の指が組み合わされてしまった。まずはこのまま力比べと言うところだろうか。
じりじりと慎吾が隼人を押していく。
「なんや〜、口ほどにもないねんなぁ。直哉の方がよっぽど強いわ」
押しながら慎吾が挑発した。
「煩せ〜!兄ちゃんは関係ねぇだろっ!」
隼人が慎吾の足を蹴飛ばした。モロに膝にけりを食らった慎吾が、一瞬体制を崩すと・・・隼人はそれを見逃さなかった。
素早く慎吾を仰向けに倒し、マウントポジションを取ってしまう。そしてそのまま平手で慎吾の頬を叩く。一応、怪我に気を使ってか慎吾のゴーグルを外してくれたのは有り難いが。
「慎吾っ!」
このまま、叩かれ続けて慎吾が負けてしまったら・・・。私の胸中に不安が広がる。
手を伸ばして代わろうにも、リング中央に近いところに居る二人に、私の手は届かない。
「口ほどにもないのは、そっちだろ!ほら、やりかえしてみせろよっ!」
「後悔、すんなや?二度と軽口聞けんようにしたるさかいな」
隼人に叩かれたまま無抵抗だった慎吾が、隼人の両手を捕まえた。そしてそのまま体を入れ替えてしまう。
今度はうつ伏せになった隼人の背中の上に、慎吾がどっかりと座ってしまった。
「ほんまにお前は子供やなぁ。あんなパンチ、蚊が止まったほどにも感じんわ〜」
慎吾は余裕しゃくしゃくだ。
そして、隼人の首の後ろから前に腕を回して・・・要は背後から首を絞めているのだが。そのまま今度は自分が下になり、隼人が仰向けになるように体制を入れ替えて・・・。
「あっ、慎吾さん凄いっ!」
「胴締めスリーパーだっ!!!」
突然、咲良と瑞樹が声を上げた。何やら興奮しているらしく、二人とも拳を握っている。
隼人は仰向けになって、慎吾の太い脚で胴体を挟まれていた。そして、首から顔面にかけても慎吾の両腕ががっちりと抱き込んでいる。
どうやらこれを・・・胴締めスリーパーと言うらしい。
何とか逃げ出そうと隼人がもがくが、慎吾はその腕も脚も全く緩めようとはしない。
そしてふいに私を見て・・・にかっ、と笑うのだった。