| 2004年 7月 7日(水) |
七夕パニック
今日が「七夕」だと言う事に気が付いたのは・・・試験が終わって、全校放送で生徒会室に呼び出されてからだった。
さぁ、慎吾を捕まえて帰りますよ!と気合を入れているところに『生徒会役員は、いますぐ生徒会室に集合。以上』という、簡潔すぎる雪紀の放送が入った。
球技大会の準備にしても、まだ試験2日目では早すぎる・・・。そう思いながら慎吾を探して一緒に生徒会室へと向かった。
がらり、とドアを開けるとそこには・・・・・・・・。
「うわっ、なんやこれ!!!笹やんか〜!」
部屋の3分の1も占領しているだろうか、かなり大振りの笹が置かれていた。
葉っぱに隠れてなにかがごそごそしているので見てみれば、咲良・瑞樹・祥太郎先生の3人で。つまり、小さいので少々隠れてしまっているのだが・・。
手には綺麗な色紙やら鋏やら、お飾りやら。およそ高校生や社会人には不釣合いな騒ぎようで、きゃっきゃ言っている。
「あ、天音さん!慎吾さんも〜」
私達に一番先に気が付いたのは咲良だった。
「先輩早く〜。短冊飾りますから、書いてくださいねぇ〜」
瑞樹がサインペンと短冊を寄越す。
「これ・・・どうしたんですか?」
呆気に取られてそう尋ねると、祥太郎先生がしたり顔で答える。
「直哉くんが、持ってきてくれたんだ〜。なんでも親戚の家の庭から切ってきてくれたんだって。この間、七夕やりたいなって言っていたの、覚えていてくれたのかなぁ〜」
くれたのかなぁ〜、って、小首をかしげて可愛らしさを装ってはいますが、先生。確信犯ですね・・・・。祥太郎先生がこのポーズをとる時は要注意。
私の中にはそう刷り込まれている。
祥太郎先生のおねだりに、直哉が勝てる筈はない。しかし、この大きさといったら・・・一体、どこの庭にこんなものが生えているのでしょう?
「天音、天音って!なぁ〜早う、書こうや!」
しばし我を忘れていた私に、慎吾がサインペンを差し出してきた。私は素直にそれを受け取ると、机の上の空いているスペースで短冊に向かう。
「それにしても、先生。この笹どうするんですか?生徒会室に置いておくには大きすぎますよ?」
「あ〜、それなら大丈夫。今、住園くんと直哉くんが、体育館に飾る支度しに行ってるから〜」
・・・・・・飾るんですか?!これを・・・・・。
「でね、他の生徒の皆や先生方にも短冊飾って貰おうと思って〜」
「ですが、今日がたなばたでは?飾ると言っても明日以降になってしまっては・・・・・」
「平気だよ〜。旧暦で考えたらまだ1ヶ月あるんだから!」
そんな単純な考えでいいのか?と思ったが、祥太郎先生には敵わないだろう。そう思う私は懸命だと思う。
「さ、出来たで〜!飾ろ、飾ろ〜!」
慎吾が上機嫌で短冊を持って移動し始めた。
「お待ちなさい、慎吾!」
余りの上機嫌さに私は嫌な予感を感じて、慎吾の後ろ襟を捕まえる。
「飾る前に、私に見せて御覧なさい?」
「え〜、別に何も変な事書いとらんて〜」
「なら見せられるでしょう?!」
私の目から庇うように隠すので、それを無理やり取り上げる。
「ああっ!ちょ、やめてんか!」
慌てて取り返そうとする慎吾を足蹴にしながら短冊を確認する。・・・・・・・・・見てよかった。
『天音にあんな事をして欲しい』『エッチな天音がみたい』『天音に○○させてみたい』等など・・・・・。
思った通り、他人様の目に触れさせる事は出来ない短冊だったので、私は無言でそれらを破く。
「あ〜、なんでそんなんすんのや〜!いけずっ!天音の鬼っ!!!」
「やかましいですよ、この筋肉お馬鹿!!!祥太郎先生が言っていた事を聞いていなかったんですか?体育館に飾るのですよ?なのに、どうしてこんな破廉恥な事しか書かないんですか!さぁ、書き直しなさい!」
私は手に持っていたサインペンを慎吾の顔面に向かって投げつけた。
追記
でも今日が七夕だという事に気が付いて、良かった。
家に戻ったらおばあさまにお願いして、慎吾の分の浴衣も出して頂いて・・・。縁側で西瓜でも食べながら「天の川」を眺めるのも、いいですね・・・。