| 2004年 8月 20日(金) |
とりあえず、旅行。
祥太郎先生や直哉、隼人を迎えに行くのではと思った私の期待は見事に裏切られた。
しかし車内では誰もその事に触れようとはせず、何となく不可思議な空気が蔓延していた。しかし咲良や瑞樹の冗談に、それなりに笑いながら車は順調に進んだ。
「これからどこに行くのですか?」
車が東名高速に乗った時、私はとうとうそれを口にしてしまった。
口にしてから、雪紀を始めとする皆の視線が一瞬にして私に向けられた事に・・・・・嫌な気分になる。
「もしかして、何も聞いていないのか?」
一番先に口火を切ったのは雪紀だった。まるで馬鹿にしたかのようなその口調は本当に腹が立つ。
「聞いていないんですから、当然でしょう?私が悪いような言い方は止めて下さい。それより本当に何処に行く予定なんですか?」
「伊勢ですよ。今東名に乗りましたから、どうでしょう・・・後3時間、いや4時間位かかりますかね」
そう教えてくれたのは、何と佐伯氏だった。バックミラーに写るその眼は、笑っている。
「何で、伊勢?」
「本当に・・・慎吾さんて駄目だよねぇ。肝心な事言わないんだから〜」
「そうそう。天音先輩がかわいそ〜」
どうして伊勢なのか分からず、きょとんとしている私に、子犬コンビが同情の声を上げた。
「や、ほんな事言われても・・・なぁ、天音?俺らも色々あったし・・・?」
咲良と瑞樹に「駄目駄目」と酷評された慎吾は頭をかきながらしきりに私に救いを求めてくる。
「・・・そう言うことにしておきましょう。でも何で伊勢なんですか?海だったら近場にいくらでもあるじゃないですか」
「せやかて、泊まり言うたらそこそこ遠くないと楽しぃないやん。伊勢やったらばあちゃんが民宿やっとるし、海は目の前やし」
「おばあちゃんって、慎吾のですか?」
「せや。母親の方のばあちゃんや。お盆過ぎて、海水浴シーズンも終わったし。部屋は空いとる言うから、せやったら皆で行きたいやん?今年の夏休みは何や、ばたばたしとってあんまり遊んでへんしなぁ」
成る程。それで急遽、海なんですね。
しかし、長年慎吾と付き合って来ているのに伊勢におばあちゃんが居たなんて、聞いたこともありませんでしたよ?私は。
それに何だか、直哉の事も気にかかる。
後で雪紀にでも聞いてみよう。