2004年 9月 1日(水)

二学期が始まる

 今日から二学期が始まる。
 私はいつもより、ほんの少しだけ早く起きて学園へと向かった。
 生徒会室に足を向ければ思った通り、雪紀と直哉が来ている。

 「おはようございまず・・・早いですね」
 そう声をかけると「お前もな」と、笑いを含んだ雪紀の返事。
 しかし、直哉からの挨拶は、ない。忙しそうに、雪紀が読む予定の原稿のチェックをしている。
 どうしたのかと思い、私は直哉の様子を伺う。別段普段と変わった様子はないが・・・。
 いや、何かが、違う。
 ・・・・・纏っている、空気が違うのか。


 何か突っ込んでやろうか、とも思ったが・・・止めておく。
 誰にだって、言いたくないこともあるだろう。こうやって考えるようになった分、私も大人になったのだろうか。


 「あ〜、やっぱりもう居る!」
 「おはようございます〜」
 廊下をバタバタと駆けてくる足音と共に、子犬コンビが飛び込んで来る。

 
 「雪紀さん、おはようございます〜!」
 咲良は早速、雪紀にべったりとくっついている。たかだか昨日一日、会わなかっただけじゃないですか。
 「なんだ、咲良。朝から元気だな」
 声だけは・・・不機嫌そうに。しけし、雪紀の目は優しく細められている。
 雪紀も満更ではなさそうなので放っておくことにする。
 
 瑞樹はと言えば、直哉に旅行のお土産を渡している。
 私はすっかり忘れていたと言うのに・・・瑞樹は案外、しっかりしているのだな。
 

 いつもの風景、いつもの生徒会。
 馴染んだ空気に、私も自然と穏やかな気分になる。
 ・・・いや、しかし。何かが足りない気がするのは?

 「咲良。慎吾はどうしたのですか?」
 慎吾が来ていない事に気が付き、咲良に聞く。
 「えっ?慎吾さん?来てますよ〜、だって一緒に寮を出てきましたもん」
 「・・・教室にいるのでしょうか」
 「あ、そうだ。プールで泳いでから来るって言ってました」

 そうですか。
 二学期が始まって、秋になれば・・・競技会があると言っていましたからね。
 どうやら慎吾は、本気で記録を狙っているようで・・・私としても嬉しい限りです。
 この夏休みに・・・してくれた約束もあるのですから。
 

 長くて、短い・・・高校生活最後の夏休みが終わった。
 幼子とて、いつまでも小さいままではない。
 私達だって、変わるのだ。