2004年 9月 27日(月)

や・・・やられた!

 ああ、どうしてこんなに腰が重だるいのか・・・。
 理由なんてわかりきっている。慎吾のお馬鹿のせいだ。最近、たまに慎吾が格好良く思えたり、もしかしたら「お利口さん」になってのでは?!と思った事もあったのだが。
 やはりそれは、私の脳が見せた幻だったらしい。

 あの後、フロントにチェックアウトの電話を入れるのに、どれ程の勇気を私が振り絞った事か。
 くちゃくちゃにしたベッドや、バスルームはとにかく片付けられる所は手当たり次第に片付けて。チェックアウトが遅れたのは私が体調を崩したため、という事にした。
 まぁ、それに関しては青い顔(慎吾のせいで!)をして、よろよろしていたので疑われもせず・・・心配までしてもらったが。
 とにかく慎吾は、私に対してやりたい放題やった挙句満足して寮へと戻っていったのだ。


 「おはようございます、天音先輩。何だか、顔色が悪いですけど・・・?」
 痛む腰を庇いつつよろよろと生徒会室へ行くと、早速瑞樹からのご機嫌伺いだ。何と、可愛らしい事か。
 「おはようございます、瑞樹。大丈夫ですからね、そんなに心配しなくてもいいですよ」
 安心させるようににっこり笑ってそう言えば、瑞樹は「お茶を入れてきますね!」と言ってミニキッチンへと走って行く。
 そんな瑞樹の後姿をほんのりとした気持ちで見送った私だが・・・。
 何となく感じた違和感に首を捻った。
 ・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・分かった、瑞樹がいるのに咲良がいないからだな、この違和感は。
 私の中では咲良と瑞樹はすっかり「二人で一人」になっているらしい。

 朝の内に咲良が生徒会室に顔を出さない日は、珍しい。元々小まめに顔を出してはいたが、次期会長に決まってからは更に頻繁に顔を出すようになった。
 今の内に雪紀の会長としての仕事ぶりを充分に観察しておくつもりなのだろう。


 ふいに、携帯が鳴った。それも、複数の。
 静かに書類の相手をしていた雪紀と、直哉の携帯が私の携帯が鳴ったとほぼ同時に鳴りだしたのだ。
 今はまだ授業中ではないので、当然電源も切られていなければマナーモードにもなってはいない。 
 「どうしたんですか?!」
 3台の携帯から奏でられる不協和音に、瑞樹が驚いてキッチンから飛び出してきた。
 とにかく電話に出なければ。

 「はい、もしもし・・・。えっ?慎吾?!」
 「咲良かっ?!」
 「なんだ、隼人か・・・。何?!」

 それぞれが違う名前を口にしながら、互いの顔を見合わせる。
 「・・・・・もしかして、同じ用件でしょうか」
 私は携帯を耳から外して、そう聞いた。
 「らしいな」
 ムッとして、雪紀が答える。
 「・・・・・どうするんだ?おい・・・・・」
 直哉が呆然としている。


 どうやら私達は、あの小娘達の機動力を甘く見ていたらしい。
 下校時に校門の前で待っていても慎吾には会えないと早々に理解したのだろう。
 今度は寮の前に現れたらしい。
 慎吾、咲良、隼人(こっちは白雪に泣きつかれたらしいのだが)の電話はそれを伝えてくるものだった。
 一体どうやって、登校させたらいいのだろうか。