2004年 9月 30日(木)

制服

 呼び出すために隼人に電話をしてから10数分後。がらりと、生徒会室のドアが開いた。
 「おはようございます、隼人、白雪。思ったより早かったじゃないですか」
 どれ程急いできたのか・・・・・二人の頬は血の巡りが良いのか、ほんのりと赤くなっている。
 白雪の頬が上気しているのは見ていて可愛らしいが、隼人のそれは何だか暑苦しく感じるぞ?

 「何、暢気なあいさつしてんだよ。本当、天音さんってわかんねぇ」
 部屋の真ん中にある作業用の机の上に鞄を放り投げると、隼人は一人掛けのソファーにどっかりと腰を下ろした。まったく、1年生とは思えないふてぶてしい態度だ。
 「暑かったでしょ・・・はい、冷たいお茶」
 さりげなく瑞樹が、冷えたお茶を隼人と白雪に手渡した。
 「おう、さんきゅー」
 「あ・・・ありがとうございます」
 本当に、こういう所で性格が分かるものだ。

 

 「隼人・・・・どんな様子なんだ、向こうは」
 隼人がお茶を飲み終えるのを待っていた直哉が、口を開いた。
 「どんなって、なぁ?白雪」
 「・・・うん、何ていうのか・・・・目立ってるよね、あの子達」
 そりゃそうに決まっている。男子校の寮の前に年頃の女子高校生がたむろしていれば、嫌でも目立つと言う物だ。
 「でもさ、兄貴。あいつら制服着てはいるけど、学校行かねぇのかな?」
 「行かないんじゃないのか?ま、こんな時間から男を追いかけてるような奴らだ。学校なんて行ったって何にもならないだろうさ」
 直哉らしい、思い切りのいい切り捨て方だな。
 「でも・・・隼人。制服を着てるっていう事は、学校がどこなのか分かるんじゃありませんか?」
 「それは、そうだけど。調べてどうするんだよ?」
 「とりあえず今のままにはしておけないでしょう?慎吾だって咲良だって、このままじゃ学校に来れません。相手の学校に連絡して引き取りに来て貰うんですよ」
 人間相手に「引き取りに」きてもらうなんて発言はしてはいけないのかも知れないが。
 今はそんな事にかかずらわっている場合じゃ、ない。
 「あ、じゃぁ俺が!白雪、一緒に見に行こう!」
 はいっ、と元気に瑞樹が手を上げた。
 「それじゃぁお願いできますか?白雪も一緒ですから、くれぐれも気を付けて下さいね?」
 何も取って喰われる訳でなし、何をそこまで心配するのか。
 そう思われるかも知れないが・・・・・相手は「地球外生命体」に匹敵する未確認物体なのだ。学校ではなく、NASAにでもお引取りを願った方が良いのかも知れない。



 「さて、雪紀。とっとと学校側に説明をしてきて下さいね。こういう事は私達が言うよりも、きちんと学校を通して連絡して貰わなければいけませんからね」
 「わかってるさ」
 そう言って生徒会室から出て行こうとした雪紀を、直哉が止めた。
 「ちょっと待て、雪紀」
 「なんだ・・・・?」
 「お前、誰に言いに行くつもりだ?」
 直哉の目が、きらり、と光った気がする。
 「誰って・・・・・取りあえず、顧問である祥太郎先生に言いに行くのが筋じゃないのか?」
 「・・・・・俺が行く」
 雪紀はここで、咲良と電話でもしてろ。
 そういい残して、直哉は駆けて行ってしまった。