| 2005年 1月 14日(金) |
愛しいと思う、気持ち。
教室の窓から私は外を見る。
今は授業中だが、何かを懸命に説明している教師の声も、今の私にはただの雑音にしか聞こえない。
先日見た、プールで泳ぐ慎吾の姿が脳裏から離れないのだ。
結局あの日私は、慎吾に声をかける事も出来ないまま。
プールを後にした。
目にしてしまった、一心に泳ぐ慎吾の姿に、どんな言葉をかけていいのか思いつかなかったのだ。
『始業式をサボって泳ぐなんて』と。
怒る事は、簡単だ。
けれど・・・・・あの時の私にそれは出来なかった。
反対に容易な気持ちで聖域に踏み込んでしまった背徳者の様な気分に襲われてまでしまった。
慎吾は私を好きだ、と言う。
それは幼い頃から全く変わりのない、嘘のない言葉で、気持ちで。
そんな慎吾を疑う気持ちは、私にはないけれど。
ただ、どれ程「好きだ」「愛している」と言う気持ちがあったとしても、そこに。
他人が踏み込んではいけない領域があるという事を、私は改めて感じた。
勿論それは、私の中にだってあるものだ。
私だけでは、ない。
雪紀にも、直哉にも。咲良や瑞樹、隼人に白雪・・・・・そしてきっと、祥太郎先生にだって。
誰にも踏み込まれたくない、荒らされたくない「心」の部分が存在するのだと今更ながらに気が付く。
慎吾を、好きなのに。
慎吾が、好きでたまらないのに。
けれどその全てを、私のものにする事は出来ない。
私も、この全てを慎吾のものにする事など、叶わない。
「家」に縛られて、野乃香との結婚を承諾してしまったのだから。
「愛しい」と。
思う気持ちだけでは、人は人として生きていく事が出来ない事を。
私は知った。