2005年 1月 21日(金)

たまには甘い時間も。

「なんや〜、あのじーさんめっちゃ恐いやんか〜」

ああ、疲れた!
そう言って慎吾は私の部屋で大の字になって転がっていた。
そりゃぁ、疲れもするだろう。
私ですらあのじい様を前にしたら、緊張をするのだ。慎吾が疲れないはずは、ない。

「でも、本当に・・・驚きましたよ」
「何がやねん?」

私はじい様相手に一歩も退かなかった慎吾に対して、素直に感嘆した。

「あの人を相手に、よくもあそこまで言ったものです。そうはいませんよ、あんな大きい事を言える人間は」
「・・・・・・・そーなん?」
「ええ、慎吾は知らないでしょうけれど。野乃香のおじいさまは一声で、この国を動かしますよ」
「ってーと、マフィア、やな!」
「違います・・・・・・・」

やっぱりお馬鹿な慎吾は健在のようだ。
どうしてそこでマフィアに繋がるかな?せめて「ヤクザ」ぐらいで止めておいて欲しかったのに。

「なぁ、天音」
「何です?」
「別にな、じーさまが言ったみたいに、俺・・・嘘付いてるとちゃうねんで?」

ずりずりと床に寝そべったまま移動してきた慎吾が、私の膝にぽすっ、と顔を埋めた。

「嘘やないねん、ほんまに」
「慎吾?」

がばっ、と何かにはじかれたかのように慎吾が顔を上げた。
そこには私を見つめる、少し明るい茶色の瞳が・・・強い力を宿したそれが、ある。

「絶対、世界獲んねん。嘘やない、天音の為やったら俺、何でも出来んねん」
「・・・・・・・・・・慎吾」
「せやから、他の誰が信じてくれんでも。天音だけは、俺を信じといてや」
「信じているに・・・・・・・・・決まってるでしょう」

ああ、駄目だ。
答える声が、震える。
あんな瞳を向けられて、あんなに強い意思のこもった言葉を聞かされて。
胸が震えない人間が、いるものか。

「天音・・・・・・・」

ぽつりと落ちた私の涙に気が付いて、慎吾がそっと頬を拭った。
そのまま慎吾の顔が近づいて来る。

「やっぱ、めっちゃ可愛いわ・・・・・」

うっとりするような声で、私の耳元に囁いて。
そのまま口付けを、された。
もうどうなってもいい、と思えるほどに、甘くて切なくて・・・幸せな口付けだった。