2005年 1月 24日(月)

図書館で

放課後、私は図書館へ顔を出した。
顔なじみの図書委員から、私が「貸し出し」のお願いしていた本が返却されたと言う。
もし借りたいのならば、今日中に図書室へ来て欲しいと言われれば仕方がない。
どうあっても借りたい本なのだ。
え?何の本ですかって?
・・・・・・・・・・なんだって、いいじゃないですか。人の事をそんなに詮索してはいけませんよ?

で、図書館で。
なんと私は直哉を発見してしまった。
余りにも真剣な顔をしているので、声をかけるのも憚られる。
そっと、忍足で近づいて後ろからこっそり覗き込めば・・・何と、あの直哉が!
山ほどの参考書に埋もれているではないか。
この3年間、いつの試験も飄々と、余裕綽々でこなしてきた直哉が参考書と向かい合っている姿なんて、私の記憶の中にはないぞ?
しかし、恐ろしいのは祥太郎先生だ。
直哉をここまで本気にさせてしまう、祥太郎先生の発言の方が私には恐ろしい。
だって、そうは思わないか?
直哉のこの様子では、祥太郎先生の言葉に反抗する姿など思い浮かびもしない。
きっと「あれ」や「これ」をして、と言われたら尻尾を振って諾として従うのだろうな・・・・・。

直哉はどちらかと言うと「猫科」の人間だと判断していたのに、それは誤りだったか?
まるで大きな犬だ。
こいつも、犬科か!しかも「ご主人様命」の。

何だか私の周囲には「犬科」の人間が多いような気がするのはどうしてだろう。


ふふふ、直哉ったら。
集中し過ぎて、私の気配にも感付いていないとは。
これは、ちょっと・・・少しくらいなら、悪戯をしても許されるのでは?
私は綺麗に切り揃えられた直哉の項に、右手の人差し指をすすすっ、と這わせた。
途端に直哉の体が、床から数センチ飛び上がる。
だがここが図書館である事を忘れてはいなかった直哉は、声を出すのを堪えた。
・・・・・・・・流石だな、直哉。慎吾なら今頃とてつもない大声を上げているぞ?

「あ〜ま〜ね〜ぇぇぇ」

振り向いて私を認識した直哉の口から、低い声が漏れた。