2005年 1月 7日(金)

気持ちの行方 SIDE 慎吾1

「おい、慎吾。そんな所に突っ立ってないで早く行こうぜ?いつまでも待たせてると雪紀が煩いし」
「あ、ああ。悪い、直哉。もう少しだけ待ってくれへんか?」

慎吾はその大きな体を隠すようにして、天音の姿を覗いていた。
そんな慎吾を見て、直哉は仕方がないと一つ溜息をついた。
今日は天音の結納が行われる日だった。前もってそれを天音に聞いていた直哉は、雪紀と一緒に慎吾の相手をする事に決めていたのだが。
だが、この3人で何かをすると言っても、特別に何が、という事はない。
カラオケは雪紀が絶対に反対するだろうし、今更ゲームセンターという年でもない。
慎吾に限っては喜ぶかも知れないが。
かといって、大きな体の野郎ばかり3人揃って映画へ、というのも何だか頂けない。
結局雪紀のマンションで昼日中から酒でも飲もう、という事になったのだ。
そして足のない慎吾を直哉がバイクで迎えに行き、その途中で「天音の家の近くで止めてくれ」と懇願されて。
今に至ると言う訳だった。


「慎吾、いい加減俺は寒いんだ」
「・・・・・・俺かて、寒いわ」
「ならそろそろ行かないか?」
「もうちょっとだけ、待ってや。今、天音が・・・野乃香ちゃん家に入って行く所なんや!」
「・・・・・・・・お前、立派なストーカーだぜ?」
「やかましわ!何やったら直哉かて、同じ思いしてみるか?!」
「遠慮しておく」





「で?そんな事をしていて、こんな時間まで俺を待たせた、と言うわけか」

直哉と慎吾が雪紀のマンションへと辿り着いたのは約束の時間を1時間近くも過ぎた頃だった。
ドアのチャイムを鳴らして、出てきた雪紀の眉間には「不機嫌」です、と誰が見ても分かるほどの皺が刻まれていたし、二人を睥睨して腕を組んだ雪紀はまさに「俺様」な態度で先程から文句を垂れ流している。

「せやから、悪かった言うてるやないか〜」
「そうだぞ、雪紀。相変わらず心の狭い男だな。慎吾の気持ちを考えてやれよ」

まるで尻尾を垂れ下げた様子の慎吾に対して、直哉はあくまで強気の姿勢を崩さない。
この程度の雪紀の機嫌の悪さに引いていては、これ程長い間、雪紀との付き合いは出来ない。

「・・・・・・・・仕方、ないな。そんな所に突っ立ってないでとっとと上がれ。支度は出来ているからな」

そう言って背中を向けた雪紀に直哉と慎吾は続く。
リビングへと足を踏み入れると、テーブルの上にはオードブルらしき皿やグラス類、アルコール等が用意されていた。

「しっかし、お前・・・・・相変わらずマメだよなぁ」
「何にも出来ないよりはいいだろうが。それに咲良が喜ぶからな」
「ま、いいか。ほら、慎吾座れよ。飲もうぜ」

こうして3人の新年会?が始まった。