2005年 3月 1日(火)

根源。

「誰のせいだと思っているんですか・・・」

暢気に俺様風を吹かせている雪紀と直哉に、私は超低気圧、若しくはブリザード並の機嫌の悪さで言ってみた。
私たちがこんなにも疲れているのは、全てが直哉のせいではないか!
そしてお馬鹿でどうにもならない大型犬と、そこの!そ知らぬ顔をしている二重人格のせいだろう!

「・・・・・俺たちのせいだとでも言うのか?天音」

まるで「心外だ」と言った様子の雪紀の態度がこれまた癪に障る。

「せいだと、ではなくて、間違いなく貴方達のせいじゃないですか。自分たちの昨日の行いを、胸に手を当てて考えて御覧なさい!」
「あ、天音!どないしたんや!落ち着け!!」

きぃぃ!と怒鳴った私に驚いたのか慎吾があたふたと私の元へとやってくる。

「煩いですよ、馬鹿慎吾!あなたもあなたです!直哉なんかに触発されて、何時まで私を離さなかったと・・・」

ここまで言って、私は我に返った。
・・・咲良と瑞樹が、呆然と私を見ているではないか。
なんという事だ、聞かれもしないのに私ともあろう者が・・・慎吾と何をしていたか自発的に皆に教えてしまったのか!

「ほー、慎吾とねぇ・・・それはさぞや、お疲れだろうな」

雪紀が面白そうに茶々をいれてくる。
白々しいにも程があるぞ、雪紀!
お前が咲良にしていただろう不埒な行いだって、私は知っているんだからな!


「おい、雪紀・・・その位にしておけよ」

珍しく直哉が口を挟んだ。
昨日の行いを少しは反省したのか、とその言葉で思いきや。

「それ以上煽ると、また一日煩いぞ」
「直哉!あなたがそんな事、言えるとでも思っているのですか?!」

だいたいが、直哉が諸悪の根源のくせに!

「あなたが昨日、祥太郎先生にあんな事をしなかったら、慎吾や雪紀だってこんな無体な真似はしなかった筈ですよ!」
「あんな事って、何だよ」
「しらばっくれる気ですか?あれからあなたが祥太郎先生を美味しく頂いてしまった事位、お見通しですよ!」
「・・・・・・・・・別に、悪い事をしたつもりはないけどな。なぁ?雪紀?」

どうしてそこで雪紀に話を振るんだ。

「確かにな」

そこで雪紀も何で答えるんだ!

「だいたい、俺が祥太郎先生を美味しく頂こうが、それが天音たちに何の関係があるんだよ。ま、美味しく頂いたのは確かだけど、それは俺と祥太郎先生の間の事であって、天音たちには無関係だろう?」

何でそこで胸を張るんだ、胸を!

「まぁ、直哉。どうやら天音はお疲れの様だし、な?あんまり構うな・・・ヒステリーが酷くなるだけだ」
「そうだな」

勝手にそこで纏るんじゃありません!


「天音、や・・・やめとけ、なっ?天音のお疲れなんは俺のせいやし!あ、ほな今日は俺、何でも言う事聞いたるし!雪紀も直哉も頼むからあんまし天音を構わんときや!後から八つ当たりされんの、俺やぞ!」

もう許せないと私が立ち上がった所を慎吾が必死の形相で止めに入った。

ぎゃぁぎゃぁ、わぁわぁ。
久々に生徒会室で私たちが大騒ぎをしている、その頃。
未だ顔を見ていない祥太郎先生は直哉のベッドに、いたらしい。
それを私が知ったのは、その日の午後になってからだったのだが。


「もぅ、もうっ!直哉くんの、バカっ!学校休んじゃったじゃないかっ!嫌だって言ったのに!皆にどんな顔して会えばいいのっ?!もう、絶対に許さないんだからね!」

ベッドの中で重たく痛む腰を抱えつつ。
祥太郎先生がそんな恨み言を、まるで念仏の様に・・・唱え続けていたらしい事を、直哉は知らない。
そして直哉は暫くの間、祥太郎先生から徹底的に無視された・・・のも、今は誰も知らない事だ。