2019年 4月 5日(金)

​絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ (本)

絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ
M・R・オコナー (著),    大下 英津子 (翻訳)
絶滅危機種の動物の絶滅しそうな原因の多くは、考えてみれば当たり前のことだけど、「人間」が関与している。
そして手を差し伸べる、それ自体悪いことではない、と皆考えるところである。
しかし、ここで紹介されている例はやや極端な例ではあるが典型的な例でもある。
いずれも考えさせられることばかりです、そう、一律に線引きした判断が機能しないということです。
貧しい国、経済を第一に考えなければいけない地域の経済的利益と希少種の保護はどちらを優先すべきか、と問いただす、絶滅しそうな希少なカエルとダム建設が必要な地域(の人々)との天秤。
環境保護がいいことなのは当たり前という貴重/希少生物保全を主張する信念は、社会的、文化的なバイアスでもある。
乱獲されたクジラの保護(ここに日本の捕鯨が出てこないけど著者は本筋からそれるから割愛したのでしょう)、
絶滅しそうな白サイの再生に似たようなサイの生殖的な助けを借りようとする、大量に飛び回り食物を食い尽くすリョコウバトを駆除していたらいつの間にか絶滅していた、もう一回復活させようしかしどれくらい?人間社会の迷惑のかからない範囲で?
最終章では“ネアンデルタール人の復活”を取り上げる、でも何のための復活?科学の進歩を見たいため?倫理的に問題はないか?などの問題は全くクリアもされていない。映画「ジュラシック・パーク」や山中教授のiPS細胞の話も頻繁に引き合いに出される。技術的にはそういった適応可能な領域もあるという、しかしそれを運用する人間がどう扱うのか、が問題になることは言うまでもないことでしょう。
これは絶滅動物に限ったことではなく、これからの世界、AI社会にどう対応していくのかと同じような哲学が必要かもしれません。