2005年 9月 2日(金)

もう20年前のこと…。

忙しさの余りというかダラダラとした生活が物語っているのか大事な日を忘れていた。
8月30日、それは父の命日だった。
暑いさなか、お盆の墓参りで世話になった恩人の墓の前で倒れた。
心筋梗塞だった。
そして2週間余り、もう元気になってだいじょうぶだと思っていたのに…。
その日の朝も私は病院に寄って父の元気な顔を見て仕事に行った。
午後3時20分、父が亡くなったとの電話に信じられなかった。
すぐ病院に走った。
まだ父は暖かく死んだとは思われなかった。
泣きながら父の身体をまたぎ、のびた髭をきれいに剃ってやった。
血が出た。
ほんとうに死んだのだろうか、寝ているだけでは…。
どこかに父の魂がいると信じた。
人間って、そんな簡単なものではないと思った。
肉体は滅びても、きっと魂は永遠に存在すると思った。
苦労した人だった。
学歴はないが頭のいい人だった。
小学校の時、教頭先生が私の名前を知って、よく言った「そうか、息子か。」「お父さん、元気か」
成績が、いつも父が一番で教頭先生が2番だったらしいい。
まじめ過ぎて世渡りが、じょうずではなかった。
派手なことも好まず質素だった。
謡いがじょうずで横笛も吹いていた。
よく座敷で近所の人に教えていた。
子供の私には一度も、教えてくれなかったことが悔やまれる。
実家の玄関の居間で大きな火鉢の前で、きざみたばこをキセルで、おいしそうに吸っていたのを想い出す。
生きていいれば97才になっている。
父というより先生みたいな威厳のある人だった。
今、書きながら想いだして目が涙で一杯だ。
私も父のように人から尊敬される人になりたいと思う。