朝寝坊をしてしまった。
目を覚まし枕元の時計を見ると「６時２５分」だった。
まだ間に合う時間でホッとする。
自慢じゃあないが遅刻は小学校以来、したことがない。
新聞を読む時間を省けば難なくいつもと同じスタートを切れた。
遅刻と言えば同級生Ｋ君を想い出す。
魚市場に隣接する食堂を営むＫ君の家は朝が早く大変だ。
彼も朝から仕事を手伝っていたのだろう…。
中学、高校と一緒だったが、ずっと「遅刻常習者」だった。
一番すごかったのは高校受験の朝だった。
受ける高校が近くなので中学校の校門が集合場所で先生に引率されて徒歩で行くことになっていた。
時間になり点呼が始まった。
「Ｋ君が来ていません！」
当然全員集合だと思っていた先生が困惑した顔になった。
「また、あいつか！こんな日まで…」
もう、あきらめて出発しようとしたところ息をきらせて彼は走って来た。
みんな笑った。
彼のおかげで、かえって緊張感がほぐれたようだった。
高校に行ってでも彼の遅刻は絶えなかった。
家の仕事のせいもあるが、どうも彼の性格もあるように思う。
社会に出てからの話だが彼とはよく飲みに出かけた。
ある時のことだが、やはり飲みに行く約束をしたが待てども待てども来なかったことがある。
何と時間があるのでパチンコをしていて夢中になって忘れてしまったとのこと。
この時は、さすがに頭にきたのだが、そのあとの話がおもしろかった。
何とパチンコ屋で財布を落としてしまったようで、それに免許証も入っており「困った、困った…」と言う。
「天罰だ！」「ざまみろ」と心で思ったが本人からも「バチがあったた」と言われ可哀想に思った。
彼には、このような話がいくつもある…。
彼の妹が事故で亡くなった後、彼が「行方不明」になり友人一同が彼の家に集まると言う騒動があった。
ご両親は娘さんを亡くしたあとだったので「まさか」と思うが…とすごく心配されておられた。
お互いに連絡をとり本人が行きそうな所をあたったのだが見つからなかった。
私はちょうど家の新築を明日に控えていたので失礼したのだが、そのあとにかっかって来た電話には驚いた。
何とボウリング場にいたとのことだった。
ついゲームに夢中になってしまって夜までいたとのこと。
もう、あきれてしまった。出前中のできごとだった。
朝寝坊、遅刻の話からＫ君の話になったが、彼にはまだまだ、おもしろい話がたくさんある。
このまま書いていたら朝になるくらい豊富に「あきれた話」があるのだ。
また機会を見つけて書いていきたいと思う。