2010年 10月 1日(金)

秋の夜

いつの頃だったろう…。
夕暮れ時期に「ゴウケツ(高下駄)」を履いてカランコロンと音を立てて歩くのが好きだった。
季節は秋だ。
街灯は今と違って、ほのかな灯り。
寺のお稲荷さんの横を通るのが少し恐かったから、なおさら強く下駄を蹴った。
角を曲がると銭湯の裏口の灯りが見えて来る。
ぷーんとおがくずの香りが身を包む。
狭い廊下を進むとパッと 明るくなり、そこが「金森湯」だった。
私は滅多に表からは入らなかった。
おもしろいことに女の人でも、この裏口から入って来る人がおり、
それが男湯の脱衣場を通ることになり母親に付いてきた若い女の子なんかはずっと下を向いたままだった。
火鉢があり大きなヤカンに番茶が湧かしてあった。
小さな銭湯だったが職人の町「金屋町」の社交の場でもあった。

「金屋町」 懐かしいな…。
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